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第72話 決戦の咆哮
鍛冶街の城壁を揺るがすように、二人の気配がぶつかり合った。
カイの背に広がる漆黒の翼が夜風を巻き起こし、紅と蒼の光が拳を照らす。
対するマクシミリアンの全身は炎に爛れ、血と灰にまみれながらも大槍を掲げていた。
「異端めぇぇぇ! お前の存在そのものが穢れだ!」
マクシミリアンが大槍を振り下ろす。
炎が竜のように咆哮し、城壁を飲み込まんと迫った。
「うおおおおッ!!」
カイが拳を振り抜く。
紅と蒼の衝撃波が炎を切り裂き、爆音と閃光が鍛冶街の夜を揺らした。
衝突の余波だけで瓦礫が吹き飛び、戦場全体が震える。
それでも二人は一歩も退かず、ただ前へ進んだ。
「馬鹿な……あの炎を拳で……!」
城壁の上から、ドワーフ兵が目を丸くする。
フィオナは杖を握りしめ、唇を結んだ。
「……これは、カイだからこそできる戦い」
マクシミリアンの瞳は狂気に燃え上がる。
「ならば――神罰で押し潰すまでだ!」
大槍を振りかざし、夜空に再び光矢の魔法陣を展開する。
しかし今度は――。
「させるかぁぁぁッ!」
カイが翼を広げ、空へと舞い上がった。
拳に宿る紅と蒼の光が夜を裂き、迫り来る矢の群れを一撃で粉砕する。
砕け散る光の中で、二人の影が激突する。
咆哮と爆音が重なり、鍛冶街の全てが決戦の舞台と化した。




