第71話 混血顕現・再臨
フィオナとオルドの連携により、光矢の雨は断ち切られた。
わずかな静寂が訪れ、鍛冶街の民は息を呑む。
しかし、戦いはまだ終わってはいない。
「チッ……小賢しい虫どもめ」
マクシミリアンが大槍を地に突き立てる。
赤黒い炎が再び立ち昇り、全身を焼き爛れた肉体がなおも動いていた。
常人ならとうに死んでいるはずのその姿――狂信と禁呪に縛られた執念の塊だった。
「異端は、最後の一片まで浄化する……! 街ごと灰に変えてやるッ!」
兵たちが再び雄叫びを上げる。
魔導大弩の弦が軋み、砲台の炎が燃え盛る。
「くそ……このままじゃ……!」
エルフの若者が声を震わせた時、カイが一歩前に出た。
紅と蒼の瞳が強く輝き、彼の背から熱風が吹き上がる。
胸の奥に蘇るのは――ディランの声。
『大丈夫だから……奴を倒せ!』
「……ああ、そうだな。もう二度と……誰も死なせない!」
四つの血が沸騰するように脈動し、肉体を突き破る力が溢れ出す。
巨人の剛力、魚鱗族の耐久、翼人の羽ばたき、人間の意思――すべてが混ざり合う。
「――《混血顕現》!」
光が爆ぜ、紅と蒼の紋様が両拳に浮かび上がった。
背からは漆黒の翼が広がり、地を蹴る足には大地の力が宿る。
カイの周囲の空気は震え、炎さえ押し返す覇気を放っていた。
「なに……!?」
マクシミリアンが目を見開く。
カイはゆっくりと拳を構え、前へと歩み出た。
その姿に、鍛冶街の民が息を呑む。
種族たちの瞳に、炎ではなく“希望”の光が映っていた。
「行くぞ、マクシミリアン……! これで終わらせる!」




