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第67話 砦の補強

 鍛冶街の城壁は厚かったが、迫る戦いに備え、さらに補強が始まった。

 ノーム族の職人たちが地下に潜り込み、巨大な支柱を石畳の下へと打ち込んでいく。

 槌音が響くたびに地面が震え、カイは思わず感嘆の声を漏らした。


「すげぇ……地下からこんなふうに強くできるのか」


「感心してる暇があったら手を動かせ!」

 ノームの老人が石片をカイに押し付け、腰を叩いた。

「若造、お前の拳は戦場でしか役に立たんと思うなよ。戦うだけが守ることじゃない」


「……はい!」

 カイは両手で瓦礫を抱え、城壁の外へ運ぶ。


 別の場所では、シルフ族の風使いたちが高台に立ち、風を操って射線を確かめていた。

 一人のシルフがカイを呼び止める。

「お前、拳で空を裂けるんだろう? なら矢の雨が降った時、我らと呼吸を合わせろ。風と拳で、敵の矢を逸らすのだ」


「風と拳で……なるほど。頼む!」

 カイが頷くと、シルフは嬉しそうに笑い、風で彼の髪を揺らした。


 さらに、ウンディーネ族が泉から街へ水を引き込む作業をしていた。

 水路を整えていた娘が、泥だらけになったカイに笑みを向ける。

「手が汚れるのを嫌がらないのね。人間族にしては珍しい」


「俺は……もう人間族だからって威張る気はない。仲間のために動くだけだ」


 その言葉に娘は目を見開き、やがて真剣な顔で言った。

「なら、この街は絶対に守って。……私たちの未来のために」


 最後に、トレント族の巨木の戦士が根を城門に絡ませていた。

 その影の下に立ったカイを見下ろし、低い声で言う。

「お前の拳が幹を折るほど強いなら……迷うな。敵を折れ。仲間を守るために」


 その言葉は、まるで亡きディランの声が重なったように胸に響いた。


「……わかった。俺は迷わない」


 こうしてカイは様々な種族の力を目の当たりにし、彼らの叱咤と激励を受けながら城壁補強に加わった。

 戦いはもうすぐ始まる――カイの拳には、仲間すべての想いが宿り始めていた。

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