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第61話 火山の麓にて
長い山道を越え、夕暮れの空を背に、一行はついにその地へ辿り着いた。
目の前にそびえるのは、火山の麓に築かれた巨大な石造りの城壁。
炉の煙突が林立し、赤々とした炎の光が夜空を染めている。
「……ここが……」
カイは思わず息を呑んだ。
壁の外からでも聞こえる、鉄を打つ槌音。
街全体がまるで巨大な鍛冶場のようだった。
「よく帰ったな、オルド!」
門の前に立っていた屈強な男が、驚きの声を上げた。
髭を編み込んだそのドワーフは、オルドの腕を力強く掴み、豪快に笑った。
「もう戻らんかと思っていたぞ!」
「俺もそう思っていたさ」
オルドは僅かに口元を緩め、仲間の手を握り返した。
門番の合図で重い城門が開く。
街の中からは鉄の匂いと酒の香りが入り混じった濃厚な空気が溢れてきた。
「ようこそ、鍛冶街へ」
迎え入れられた瞬間、一行の疲労は少しだけ和らいだ。
ドワーフたちはオルドの帰還を聞きつけ、次々と集まってくる。
「英雄が帰った!」と囃し立て、フィオナやエルフたちを珍しそうに眺める。
「安心しろ。ここでは誰も鎖につながれはしない」
オルドの言葉に、カイもフィオナも胸の奥が温かくなるのを感じた。
こうして一行は、束の間の休息を得ることになった。




