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第60話 山道の試練

 焼け跡の森を抜け、一行は険しい山道へと足を踏み入れた。

 鋭い岩が積み重なる崖道、絶え間なく吹き付ける強風、そして足元には谷底が口を開けている。


「うっわ……これ、落ちたら即死だな」

 ディランを失った直後で沈みがちな空気を、狼耳の代わりに気の強いエルフの若者が震え声でつぶやいた。

 仲間の緊張が少し和らぐ。


「気を抜くな」

 オルドは前を睨み、重い声で言い放った。

「山は生きている。足元一つで容赦なく命を奪うぞ」


 その言葉の直後、轟音が響く。

 崖の上から岩が崩れ落ち、道を塞いだ。


「っ! 岩崩れだ!」

 カイが叫び、仲間たちを庇うように前に出る。

 しかし、岩は巨大でとても一人では押し返せない。


「ここは私に任せて!」

 フィオナが杖を掲げ、緑の魔法陣を展開する。

「――《森羅裁断ジャッジメントリーフ》!」


 光の根が伸び、崩落する岩を絡め取って逸らす。

 谷底へ落ちた巨岩が轟音を立て、風が唸った。


「はぁ……助かった……」

 エルフの若者が安堵の息を吐く。


 だが道はまだ続く。

 次は強風が吹き抜ける狭い尾根。

 エルフ族の子供が足を滑らせ、体が宙に投げ出された。


「しまった!」

 カイが手を伸ばすが届かない。


「任せろ!」

 オルドが腰の縄を掴み、太い腕で崖に杭を打ち込む。

 縄を振り回して子供の腕に絡め、一気に引き上げた。


「ひっ……助かった……!」

 子供は涙を浮かべ、オルドに抱きついた。

 無骨な彼は鼻を鳴らし、頭を軽く叩いて答えた。


 夕刻、ようやく一行は険しい山道を抜け、遠くに煙を噴き上げる火山と石造りの城壁を望んだ。


「見ろ……あれが俺の故郷、ドワーフの鍛冶街だ」

 オルドの声は誇らしげに響いた。


 疲労と恐怖の中で歩み続けた仲間たちの顔に、初めて安堵と期待の光が宿った。

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