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第55話 希望の共鳴
炎が森を呑み込む。
枝葉は燃え、土は裂け、仲間たちの顔には絶望が広がっていた。
泣き叫ぶ子供、うずくまる老人。誰もが「終わり」を悟りかけていた。
その時――。
「まだだ……終わらせはせん!」
オルドが焼けただれた大槌を握り締め、炎に立ち向かった。
汗が滴り、腕は震えていた。だが、その眼光は鋼のように揺るがない。
「若造、そして……フィオナ。俺に力を貸せ!」
フィオナは顔を上げた。
涙で濡れた瞳に、燃え盛る火柱と、今にも焼かれようとする子供の姿が映る。
彼女は杖を強く握り、静かに頷いた。
「……わかった。共に……切り裂きましょう、この炎を!」
二人は並び立ち、同時に魔法陣を展開した。
大地を覆う巨大な緑の魔法陣――
「――《森羅裁断》!」
天を裂く隕鉄の紋章が赤熱し、砕け散る星々が槌に宿る――
「――《隕鉄流星》!」
光の葉と根が空を覆い、炎を切り裂く刃となる。
同時に、オルドの槌から迸る流星の軌跡が火柱を砕き、轟音と共に爆ぜ散らした。
緑と赤の光が交錯し、燃え盛る檻は一瞬にして切り裂かれていく。
焔の中に生まれた裂け目から、清らかな風が吹き込んだ。
「……これが……!」
カイが目を見開いた。
炎に閉ざされた絶望の檻が、わずかに開き始めていた。
希望の光が――確かに差し込んだのだ。




