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第49話 迫る危機
精霊の集落に迎えられ、仲間たちは久しぶりに安らぎを得ていた。
だが、その空気を破るように、長老のもとへ急報がもたらされる。
「……王国の斥候が、この森に踏み込んだと?」
長老の言葉に広場はざわめいた。
「奴らは森を焼いてでも探すでしょう」
「もう時間は残されておりません……」
仲間たちの顔に再び恐怖が広がる。
だがその時、工房からオルドが現れた。
手にはまだ煤の残る布に包まれたものを抱えている。
「……チビ。お前に渡すものがある」
ぶっきらぼうにそう言い、カイの前に差し出したのは、黒鉄に銀の装飾が施された頑丈なガントレットだった。
「これは……」
カイが驚いて見上げると、オルドは鼻を鳴らした。
「素手で戦うなど馬鹿の極みだ。だが、その拳は仲間を守るためのものだろう。
ならば守るべきは拳そのものだ。……壊れる前にな」
仲間たちは息を呑んだ。
カイは両手でガントレットを受け取り、深く頭を下げる。
「ありがとう……! 絶対に、この拳でみんなを守る!」
オルドはふいと目を逸らし、低く呟いた。
「……まだ渡すつもりはなかったが、状況が状況だ。
王国の影が迫るなら、俺も黙って座ってはいられん」
その言葉に、カイの胸に熱が込み上げる。




