第47話 火と瞑想の試練
鍛冶の火 ― カイ
工房の奥。
赤々と燃える炉の前に立つカイに、オルドは巨大な槌を差し出した。
「武器を打て。だが、ただ叩くだけでは意味がない。
お前の“心”が火に負ければ、鉄は砕ける」
カイは槌を握り、炉の炎に向き合った。
紅と蒼の瞳が燃え上がる炎を映す。
思い出すのは、アリシアの最期の笑顔――。
「……絶対に、負けない」
槌が振り下ろされ、鉄が火花を散らす。
汗と涙が混じり、叩くたびにカイの心は研ぎ澄まされていった。
オルドは黙って見つめ、やがて低く呟いた。
「……悪くない。お前には“火を越える心”がある」
◆
瞑想の森 ― フィオナ
一方、フィオナは長老に導かれ、巨木の根元に座っていた。
月明かりが差し込み、森そのものが彼女を包むように静まり返っている。
「お前の試練は“瞑想”。己の心に潜む闇を乗り越えねばならぬ」
長老の言葉に、フィオナは目を閉じた。
闇の中に浮かぶのは、鎖に繋がれた過去の自分。
恐怖に震え、声を奪われた影。
「……私は……もう、囚われない!」
叫んだ瞬間、心の中で光が弾けた。
蒼い樹木がそびえ、枝葉から光の粒が降り注ぐ。
その中に三つの宝が浮かんでいた。
――蒼樹の杖。
――精霊の法衣。
――森羅万象の書。
それらが彼女の手に吸い寄せられ、力が体に流れ込む。
目を開いたフィオナの瞳は、恐怖ではなく静かな自信に満ちていた。
「これが……私の力……」
夜が明ける頃。
工房で火を越えたカイと、森で瞑想を終えたフィオナが、それぞれ仲間たちの前に姿を現した。
紅と蒼の瞳を光らせる少年と、蒼樹の杖を手にした精霊の娘。
その姿は、仲間たちに新たな希望を示していた。
――二人の解放者は、次なる戦いに備えて力を得たのだった。




