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第45話 精霊の集落

 試練を越えた先――森の奥に広がっていたのは、光に満ちた空間だった。

 巨木がそびえ、枝には光の粒が舞い踊り、泉は星空のように輝いている。

 まるで森そのものが息づく楽園のようだった。


「……すごい……」

 奴隷として荒れた土地しか知らなかった人々は、その美しさに息を呑む。


 そこに現れたのは、長衣をまとい、銀髪を揺らすエルフたち。

 その瞳は鋭く、しかし敵意はなく、静かに一行を見つめていた。


「侵入者……いや、試練を越えた者か」

 先頭の長老格のエルフが言葉を紡ぐ。

「名を名乗れ」


 カイが前に出ようとした時、フィオナが一歩進んだ。

 緑の瞳が揺れ、声はかすかに震えていたが、それでも仲間たちを守るように背筋を伸ばした。


「……私はフィオナ。精霊族の娘……かつて、奴隷に囚われていた者です。

 でも……今は仲間と共に、“解放”のためにここへ来ました」


 その言葉に、長老は目を細め、静かに頷いた。

「……ならばお前たちを受け入れよう。ここは“鎖を憎む者”の集落だ」


 奴隷たちから安堵の声が漏れる。

 誰もがようやく“居場所”を得たのだと実感していた。


 だが、その場でディランがふと呟いた。

「にしても……フィオナ、外見はオレたちと同じくらいなのに……ずいぶん落ち着いてるな」


 その言葉に、長老が薄く笑った。

「落ち着いているのも当然だろう。彼女は――すでに二百年を生きている」


「……に、二百年!?」

 ディランが耳をぴんと立て、目を剥く。

 ハルドも珍しく声を上げた。

「見た目は若い娘にしか見えん……」


 奴隷たちもざわめく中、フィオナは小さく息をつき、肩をすくめた。

「……長命種の精霊族は、時間をゆっくりと生きる。

 でも……鎖に繋がれた日々は、あまりに長くて……本当の自分を忘れていた」


 その言葉にカイは真剣な眼差しを向けた。

「フィオナの時間は……これから取り戻せばいい。オレたちと一緒に」


 その一言に、フィオナの胸が熱くなる。

 涙を堪えながら、彼女は微笑んだ。

「……ありがとう、カイ」


 こうして一行は、精霊の集落に受け入れられた。

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