第242話 獅子と鍛冶師、限界の咆哮
大地を砕く《覇帝轟砕・真打》の余波がまだ渦巻いていた。
兵たちは膝をつき、風と炎と雷が混じる嵐の中で立ちすくむ。
そのただ中で――二つの影が、なおも前へ進んでいた。
「ライオネル、限界はとうに越えてるぞ!」
オルドが歯を食いしばり、焦げた戦鎚を握る。
「これ以上は無茶だ!」
「無茶じゃねぇと覇帝は倒せねぇ!」
ライオネルが獅子のように吠え、大剣を構え直した。
「だから俺は前に立つ! お前が槌を振り下ろすための道を、俺が切り拓く!」
そのやり取りを見て、獣人兵とドワーフ兵が一斉に声を上げた。
「行けぇぇぇ! 我らの魂を託す!」
「獅子と鍛冶師に続けぇぇぇ!」
士気が再び燃え上がる。
「……なら、やるしかねぇな」
オルドが深く息を吐き、戦鎚を掲げた。
「俺たちの限界、覇帝に叩き込む!」
「おう! 一発で決めるぞ!」
ライオネルの瞳が炎を宿す。
二人の気迫が重なった瞬間、大剣と戦鎚に轟音が走った。
「――《獅鉄轟炎斬》ッ!!」
ライオネルの大剣が閃き、獅子の幻影が咆哮する。
同時にオルドの戦鎚が赤熱し、地面を砕き炎の奔流を生み出す。
獅子と炎が合流し、巨大な火獅子が戦場を駆け抜けた。
咆哮と爆音が重なり、帝国兵の鉄壁をまとめて粉砕する。
「なに……!」
ライナーの黄金の鎧に火獅子が食らいつき、巨体を押し戻した。
帝国の兵たちが驚愕の声を上げる。
「行けぇぇぇッ!!!」
ライオネルとオルドが同時に叫び、全軍が突撃する。
覇帝の力に押し潰されながらも、獅子と鍛冶師は限界を超えて前に立ち続ける。
その姿は兵たちにとって、まさに絶望を打ち破る光だった。




