第240話 獅子と鍛冶師の反撃
黄金の拳が振り下ろされるたび、大地が悲鳴を上げた。
帝国皇帝ライナーの《覇帝轟砕》は、まさに天地を割る暴威。
盾ごと兵を粉砕し、獣人とドワーフの軍列を押し返していく。
「ぐっ……押し切られる……!」
兵たちが悲鳴を上げる。
その前に、ライオネルが一歩踏み出した。
「ビビってんじゃねぇ! 俺が前に立つ! ――吼えろォッ!!」
大剣を振り抜き、幻影の獅子が皇帝の拳に食らいつく。
衝撃で土煙が爆ぜ、兵たちの後退が辛うじて止まった。
「はは……やっぱ化け物だな。だが、だからこそ燃える!」
ライオネルの笑みは猛獣そのものだった。
「無茶しやがって……だが嫌いじゃねぇぞ!」
オルドが吼え、戦鎚を振り下ろす。
「――《熔岩爆槌》ッ!」
大地から灼熱の炎が噴き上がり、黄金の拳を焼き払う。
爆炎が皇帝を包み込むが、その鎧はなお輝きを失わない。
「ふん……小細工程度では揺るがん」
ライナーは肩をすくめ、炎を押しのけて前進する。
「ならば、合わせるぞ!」
ライオネルが叫ぶ。
「獅子と鍛冶の力で奴を押し返す!」
「おうよ!」
オルドが頷き、二人は並び立った。
大剣が唸りを上げ、戦鎚が雷鳴を轟かせる。
二人の動きがぴたりと重なった瞬間――。
「――《獅子轟槌斬》!!」
咆哮と轟音が戦場を震わせた。
黄金の拳と獅子の剣と鍛冶の槌が激突し、衝撃波が平野全体を吹き抜ける。
兵士たちが耳を塞ぎ、空が割れんばかりの轟きが続いた。
ライナーの巨体がわずかに後退する。
初めて、覇帝が押し返された。
「おおおぉぉぉッ!!!」
獣人とドワーフの軍勢が歓声を上げ、再び士気が燃え上がる。
「見たか! 俺たちの連携は鉄壁すら打ち破る!」
ライオネルが吼え、オルドが笑った。
「まだまだ叩き込むぞ! 次は本気だ!!」




