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第238話 獣と鉄の突撃

 帝国機甲重装部隊――その黒鉄の壁は平野いっぱいに広がり、まるで大陸を二分する巨大な要塞だった。

 鎧の隙間から漏れる蒸気が吐息のように立ち昇り、盾が重なり合ってひとつの城壁を築いている。


 その前に、獅子族を筆頭とする獣人軍が並び立ち、牙を剥いて咆哮を上げた。


「吼えろォッ!!!」

 ライオネルが先頭で大剣を振り上げる。

「獣人の魂を見せてやれ! 俺に続けぇぇぇ!!」


 雄叫びが大地を揺らす。

 獣人たちは獣性をむき出しにして突撃した。狼が地を駆け、虎が槍をへし折り、熊が盾に体当たりする。


「鉄の壁相手に正面突破か……さすがに無茶だな」

 オルドが苦笑しつつも、戦鎚を構えた。

「なら、俺らドワーフの槌で穴を開けてやる! 砕けッ!!!」


 戦鎚が唸りを上げ、黒鉄の盾に叩きつけられる。

 重厚な音が響き、盾の表面に亀裂が走った。


「よし、割れたぞ! 押し込めぇぇぇ!!」

 ドワーフの戦士たちが次々と槌を振るい、亀裂を広げていく。


「ぬうぅぅん……!」

 帝国兵たちも声を上げ、陣を崩すまいと踏ん張る。

 鉄と鉄が軋み、両軍のぶつかり合いはまさに地獄絵図だった。


「クソ硬ぇな……だが、こじ開けりゃどうってことねぇ!」

 ライオネルが大剣を振り抜いた。

「――《獅子咆哮斬ライオンズロア》ッ!!!」


 轟音と共に獅子の幻影が走り、黒鉄の盾を一枚まとめて吹き飛ばした。

 その突破口に、獣人たちが一斉に雪崩れ込む。


「おおおっ! 開いたぞ、道が!」

 ドワーフの兵が歓声を上げる。


「まだだ! もっと広げるぞ!」

 オルドが戦鎚を振り上げ、地を叩いた。

「――《熔岩爆槌ラヴァ・バースト》!!!」


 地割れから赤熱の炎が噴き出し、黒鉄の壁を内側から焼き裂いた。

 悲鳴を上げた兵士たちが次々と倒れる。


 鉄の壁が崩れ、戦場に一瞬の隙が生まれる。


「任せろ! 俺が先頭に立つ!」

 ライオネルが叫び、獣人軍を引き連れて前進した。


 獣と鉄が噛み合い、平野の戦場は咆哮と轟音に包まれる――。

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