第233話 異種族の集結
連邦の旧議事堂――瓦礫を修復して会場とした大広間には、各地から集った旗と紋章が林立していた。
エルフの長老は深き森の紋章を背に、獅子獣人族の戦士長は金色の鬣をなびかせ、ドワーフ族の鉱王は分厚い胸板を誇示し、魚鱗族や人魚族の代表もそれぞれの使者を連れている。
翼人族の評議会代理は険しい顔を崩さず、精霊族の賢者は透き通る杖を握り、すべての視線が一点に集まった。
――カイたち一行。
「世界敵と呼ばれた者が旗を掲げる、か」
長老の声は震えていたが、その瞳には確かな光があった。
「任せろ!」
ライオネルが豪快に立ち上がる。
「俺たちはこれまで、帝国だろうが公国だろうがぶち破ってきた! 最後に三国まとめてかかってくるなら……派手にぶっ倒すだけだ!」
会場にざわめきが走る。
「だが、忘れるな」
翼人族の代表が冷たい声を響かせた。
「この戦いに敗れれば、異種族は一斉に狩られる。
貴様らの“理想”に付き合って滅ぶなど、愚かではないか?」
その言葉に、場の空気は凍りついた。
しかし――フィオナが立ち上がり、静かに言葉を紡いだ。
「……もう怯えて隠れるだけの時代は終わったのです。
彼は人間でありながら、異種族のために拳を振るった。
その事実を、あなた方も見たはず」
鋭い瞳が会場を射抜き、沈黙が流れる。
そこへ、セレナが柔らかな声で歌い出す。
静かな旋律が大広間に広がり、疲れ切った人々の心をほどくように揺らした。
「……解放の歌だ」
魚鱗族の代表が思わず呟く。
「俺たちは奴隷として鎖に繋がれてきた。
だが、鎖を断ち切ったのはあの少年と仲間たちだ。
ならば俺は、彼らと共に戦う」
力強い宣言に、再びざわめきが起きる。
「俺たち鍛冶師の腕が欲しいなら、全部持ってけ!」
オルドが豪快に笑う。
「兵を鍛え、武具を揃え、砦を築く。やれることは全部やってやる!」
その熱に当てられるように、各種族の代表が次々と頷いた。
最後に、カイが立ち上がる。
仲間の顔を一人ずつ見回し、そして民衆の声を背に受けて。
「俺は世界敵でいい。
だけど俺は、仲間と共に立ち上がり、この旗を掲げて、奴隷も異種族も人間も、全部を解放する!
その未来を信じてくれるなら……共に戦ってほしい!」
その叫びに、各種族の代表が立ち上がり、拳を突き上げた。




