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第229話 温泉とサウナの饗宴

 旅立ちを翌日に控え、連邦の外れにある天然温泉宿を訪れたカイ一行。

 道中の疲れを癒やすため、仲間たちは久しぶりにゆったりとした時間を過ごすことになった。




 広々とした岩風呂には、湯気が立ち上り、月光が湯面にきらめいていた。


「はぁぁぁ……生き返るわ……」

 フィオナが肩まで浸かり、普段の張り詰めた表情をゆるめた。

 濡れた髪が頬にかかり、頬がうっすらと桜色に染まっている。


「フィオナがリラックスしてるの、珍しいかも」

 ミラが翼をたたみ、背中を伸ばして湯の中でぷかぷかと浮かぶ。

「やっぱりお堅いお姉さんだと思ってたけど、こうして見ると……」


「……何か言った?」

 フィオナが目だけで睨むと、ミラは「ひゃっ、ごめんごめん!」と慌てて潜り込む。


「ふふっ……二人とも賑やかね」

 セレナは胸元まで湯に浸かり、長い髪を湯に漂わせる。

 肌に滴る雫が光を反射し、まるで水の精そのものだった。

「でも……本当に、ここまで来れたのは奇跡みたい」


「その奇跡を繋ぐのが、私たちの役目よ」

 ルカが短く答える。

 普段は鎧に包まれた筋肉質の体も、湯に包まれるとしなやかに見え、彼女の女性らしさが際立っていた。

「……こういう時間も悪くない」


「おや、珍しく素直なルカ」

 エステルが口元を上げる。

 湯気の中、白い肌を惜しげもなく晒し、タオルを肩に掛けている姿は絵画のようだった。

「皮肉じゃないわよ、これが現実――この温泉、最高だわ」


 女性陣の湯けむり談義は、まったりしつつも賑やかに続いていった。




 一方その頃。

 男たちは湯ではなく、サウナに集まっていた。


「おいカイ! ここは男同士の勝負だ! 誰が一番長く耐えられるか!」

 ライオネルがすでに汗だくで叫ぶ。


「……はぁ、なんでこうなるんだよ……」

 カイはタオルで汗を拭きながらも、挑戦を受ける構えを崩さない。


「フンッ……鍛冶師を舐めるなよ!」

 オルドは腕を組み、額から滝のように汗を流しながら仁王立ち。


 サウナ内は灼熱。

 石に水をかけるたび、蒸気が「ゴォォォッ」と立ち上り、熱波が全身を襲う。


「……ライオネル、顔が真っ赤だぞ」

「まだまだだぁ! 俺は獅子だぞ! 熱に負けるわけが――ぐぅ……」

 がくんと膝をつき、倒れ込むライオネル。


「……無理すんなって」

 カイが慌てて抱き起こす。


「フハハ! 一人脱落だな!」

 オルドが豪快に笑い、さらに石に水をかけて蒸気を増やす。


「おい、やめろ! これ以上は……!」

「勝負は勝負だ!」


 結果――最後まで立っていたのは、意外にもカイだった。

 ふらつきながらも、気力で耐え抜いたのだ。


「……やるな、カイ」

 オルドが笑い、ガシッと肩を組んだ。

 ライオネルはタオルで頭を冷やしながら「次は勝つ!」と悔しそうに吠えていた。



 夜。

 温泉から上がった女性陣と、サウナから出てきた男性陣が合流した。

 女性たちは艶やかに、男性たちは真っ赤に火照り、どちらも一様に笑顔だった。


「なんだかんだで、いい時間だったわね」

 エステルが髪をタオルで拭いながら言う。


「……もう一度入りたい」

 ルカが短く呟き、皆の笑いを誘った。

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