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第225話 仲間への信頼

 連邦の鍛冶場。

 オルドを筆頭に、集まった武器職人・防具職人・衣服職人・装飾職人が夜を徹して火花を散らした。

 ハンマーの音、布を織る音、宝石を研ぐ音……そのすべてが調和し、一つの大合奏のように街を包んでいった。



 翌朝。

 炉の火が落ちると同時に、煌めく武具が並べられていた。


「……すごい」

 フィオナが杖を手に取り、魔法陣が自動で浮かび上がる様を見て息を呑む。

「これは……私の魔力の流れを理解したうえで刻印してあるわ」


「俺の剣……軽いのに、重みがある。振るっただけで大地が震えるみたいだ」

 ライオネルが大剣を握りしめ、感嘆の声を漏らす。


「竪琴に……宝石が宿ってる。音色が違う……まるで世界が歌ってる」

 セレナの目から涙が零れる。


「アタシの弓、カッコよすぎ! これで空飛んで暴れまわれるじゃん!」

 ミラが飛び跳ね、弓を振り回す。


「……堅牢だ。俺の肉体の延長のようだ」

 ルカが籠手を握り、短く頷いた。


「鉄は嘘をつかねぇ……最高の仕上がりだ」

 オルドが戦鎚を掲げ、豪快に笑った。



「ふふっ、これは見事ね!」

 エステルも手袋を外し、光を反射するレイピアと短銃を眺める。

 その目は少女のように輝き、口元にはしゃいだ笑みが浮かんでいた。


 しかし、彼女は武器を手にしたまま、受け取ろうとはしなかった。

 ただじっと見つめ、どこか考え込むようにしている。


「……どうした、エステル?」

 ミラが首をかしげる。


「嬉しくないわけじゃないの。ただ……なにかが、まだ足りない気がするの」

 エステルは苦笑し、曖昧に答える。


 そんな様子を見て、カイが口を開いた。


「……何って、お前が“名をつける”のを待ってんだよ」


 その言葉に、エステルの瞳が大きく見開かれる。


「え……私が?」


「前に手に入れた時は、俺が勝手に名前を付けただろ?

 でも今は違う。――信頼する仲間に名をもらうのが、一番自然だと思ったんだ」


 カイは照れ臭そうに笑いながら、それでも真っ直ぐに言葉を続けた。


「エステル、お前が付けてくれ。俺たちの、この武具に」


 静まり返る空気の中、仲間たちの視線がエステルに集まる。

 彼女は一瞬戸惑い、やがて小さく笑みを浮かべた。


「……皮肉じゃないわよ。本当に、そういうところ……あなたってずるいのね」


 ゆっくりと武器を掲げ、エステルは名を紡ぎ始めた。

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