第223話 鍛冶の始まり
連邦議会の地下倉庫から運び出された稀少鉱石と素材の数々。
その一部はすでに広場に設けられた即席の鍛冶場へと集められていた。
瓦礫を利用して組まれた炉は粗末な見た目ながら、オルドが作り上げただけあって頑丈で、火勢も申し分なかった。
「よし……火は上々だ」
オルドは額の汗を拭い、戦鎚を持ち直す。
「ここからが本番だ。お前たちの戦い方を全部踏まえて、装備を作ってやる」
「楽しみにしてるわ」
フィオナが微笑む。
「でも……本当に全員分を作れるの?」
「やれるさ!」
オルドは豪快に笑う。
「俺の腕と、この素材があればな!」
まずは羊皮紙を広げ、仲間たちを一人ずつ見やった。
「ライオネル。お前は真正面から突っ込むタイプだ。
なら……長大な大剣に加え、衝撃を吸収する防具を組み合わせる」
「おう! 俺に似合うド派手なやつを頼むぜ!」
「フィオナは後衛だが、攻撃魔法も使う。
《森羅裁断》や《万象律詠》をさらに高めるなら、杖に属性強化を仕込むべきだな」
「なるほど……回復も攻撃もこなせるようにするわけね」
「セレナには歌を増幅する竪琴。音を共鳴させる宝石を埋め込めば、歌の効果は倍加する」
「わぁ……竪琴そのものが仲間になるみたいね」
セレナが感嘆の声を漏らす。
「ミラには矢速を上げる風石を使った弓だ。空を舞いながら撃つなら、軽さと強度が必須だ」
「やっほー! それなら空から一番目立てるね!」
ミラが嬉しそうに翼を広げる。
「ルカには……頑丈な装甲付きの籠手だな。力を抑えるのじゃなく、むしろ爆発的に解放できるように設計する」
「……あぁ。無駄がない」
ルカが短く答えた。
「エステルには……実用性と美しさを兼ねたレイピアと銃を。
裁判でも舞踏会でも映えるようにな」
「……ふふ、よく分かってるじゃない」
エステルが皮肉を返しながらも、口元を緩めた。
最後にオルドはカイを見た。
「そしてカイ。お前には拳を守り、なおかつ力を引き出す“ガントレット”を作る。
混血顕現で身体を酷使しても壊れない、最高のものをな」
「……ありがとう、オルド」
カイは静かに拳を握りしめた。
「よし、設計はまとまった!」
オルドは戦鎚を振り上げ、炉に火花を散らす。
「ここからは徹夜仕事だ! 最高の武器防具を、お前たちに届けてやる!」
「おぉーっ!」
仲間たちが声を合わせ、広場は熱気に包まれた。




