第222話 旅路の準備
連邦議会の跡地。
崩れ落ちた議場の一角にある会議室は、今は仮の集会所となっていた。
カイたちは丸い机を囲み、次の行き先について思案していた。
「公国に行くべきか、それとも議長が言っていた連邦以外の情報を探るべきか……」
ライオネルが腕を組み、唸るように言った。
「どちらにしても準備が必要ね」
フィオナは冷静に地図を広げる。
「前回の戦いで、あなたの身体もまだ完全じゃないでしょう、カイ」
「……ああ。けど止まってるわけにはいかねぇ」
カイは拳を握りしめ、迷いを振り払うように言った。
そんな時、扉がノックされる音が響いた。
「失礼するわ」
エステルが入ってきた。その後ろには数人の民衆が続いている。
「エステル? どうした」
カイが目を上げる。
「案内したい場所があるの。連邦の地下倉庫よ」
エステルは微笑み、民衆の男たちを振り返った。
「ここに隠されていたものを、あなたたちに託したいと」
案内に従い、瓦礫の奥を進んでいくと――そこに現れたのは、煌めく鉱石と光を放つ素材の山だった。
「……これは……!」
オルドの目が一瞬で輝いた。
棚には魔力を帯びた稀少鉱石、魔獣の牙や鱗、古代の加工技術で造られた名品の数々が並んでいる。
さらに壁には、今なお鋭い輝きを放つ剣や槍、魔力を纏った鎧や盾が整然と掛けられていた。
「これらは議会が秘匿していたものです」
エステルが説明する。
「本来は民のもの。でも、あなたたちが戦いを続けるのなら――どうか使ってほしい」
「……すげぇ……まるで鍛冶神の宝物庫だ」
オルドが唸り、戦鎚を握る手を震わせる。
「カイ、フィオナ、ライオネル……お前たち全員に合わせた武器と防具を作れる! いや、作らせてくれ!」
「え……オルド?」
フィオナが目を瞬かせる。
「俺は鍛冶師だ。仲間の特徴も戦い方も知ってる。だったら、その長所を活かして、弱点を補う武器防具を作る。それが俺の役目だろう!」
「おおっ、いいじゃねぇか!」
ライオネルが拳を打ち鳴らす。
「俺にはもっとデカい剣を頼むぜ! カイと並んで突っ込めるやつをな!」
「私は……杖と法衣をもう一段階強化できれば」
フィオナも目を細め、真剣な表情で言った。
「だったら私は弓! もっと速く、もっと派手に矢を飛ばせるやつね!」
ミラが翼を広げ、期待に満ちた笑みを浮かべる。
「……いいだろう」
ルカが短く言った。
「俺には堅牢さが必要だ。前衛として長く戦えるようにな」
「ふふっ、私は実用性と美しさを兼ね備えた装備が欲しいわね」
エステルが皮肉めいた笑みを浮かべる。
「任せとけ!」
オルドは大きく頷き、拳を掲げた。
「鍛冶場を作ればすぐに取り掛かる。最高の装備を揃えてやる!」




