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第221話 未来への分配

 連邦の巨大な武器庫。

 そこに眠っていた財宝や武具は、一つ残らず民衆の元へと戻されていった。

 涙と笑顔が混ざり合う光景は、かつての連邦の陰鬱な支配とは真逆のものだった。


「見ろよ……! 村で奪われた水晶灯だ!」

「これは俺の祖父が打った剣だ……まさか戻ってくるなんて」

「この金貨があれば、店を立て直せる!」


 次々と歓喜の声が上がり、人々の表情には光が宿っていく。


「……よかったな」

 カイは拳を胸に当て、安堵の息を吐いた。

「奪われたものが、またみんなの力になる」


「ええ」

 フィオナが頷く。

「本来あるべき場所に戻っただけ。でも、その“当たり前”を取り戻すのがどれほど難しかったか……」


「ま、これで腹一杯飲み食いできるな!」

 ライオネルが大笑いし、大剣を肩に担ぐ。

「貧乏暮らしから解放された連中に、まず必要なのは祭りだ!」


「また宴ですか……あなたは本当に単純ですね」

 エステルが呆れたように笑う。

「でも、民衆にとってはきっといいこと。心が軽くなるのは、法や数字よりも先にあることだから」


 セレナが柔らかな歌声を響かせる。

 その声に合わせ、子供たちが跳ね、老人たちまでもが手拍子を打ち始める。


「声が……本当に人を繋げてる」

 セレナは微笑んだ。

「昨日の戦いで実感したわ。応援も、歌も、力になるんだって」


「なら、俺も一発景気づけしてやるか!」

 オルドが酒樽を抱え、広場に放り出す。

「これでみんな乾杯だ!」


 その瞬間、ドワーフも人間も獣人も精霊族も入り混じって大声を上げ、杯をぶつけ合った。


「……ここからが始まりだ」

 ルカが小さく呟く。

「財産は戻った。だが大事なのは、それをどう未来に繋げるか……」


「だな」

 カイが頷き、仲間を振り返る。

「これからも戦いは続く。でも――今は、この光景を信じていいはずだ」


 奪われた財産は民衆の手に戻り、街は復興の第一歩を踏み出した。

 そこには、かつてなかった希望の芽が芽吹いていた

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