第220話 連邦の武器庫にて
夜通し続いた大宴の翌朝。
まだ街には笑い声と歌声が残っていたが、カイたちは早くも次の行動へと移っていた。
「……ここが、連邦の武器庫か」
カイは瓦礫の奥に隠された巨大な石造りの扉を見上げる。
分厚い鉄格子で封じられ、幾重もの封印符が貼られていた。
「議会が押収していた品々……奴隷から巻き上げた武器や防具、そして金貨。
復興の資金にできるはずだ」
エステルが冷静に言い、レイピアの切っ先で封印符を払った。
扉がきしみながら開くと――中から溢れ出すのは膨大な光景だった。
山のように積まれた剣と槍。
磨かれぬまま投げ込まれた鎧と盾。
そして無数の宝箱に詰め込まれた金銀財宝。
「うっわ……これ全部、連邦が搾り取ったもの?」
ミラが目を丸くし、羽根をバサリと広げる。
「そうだ。戦争の資金、議会のぜいたく、全部ここから出ていた」
オルドが唸る。
「だが……こいつらを元の持ち主に返せば、街はすぐに立ち直る」
民衆も集まってきて、武器庫を覗き込む。
中には、涙を流して膝をつく者もいた。
「これは……俺の村から奪われた盾だ!」
「見ろ、私の父の剣だ……!」
人々の声が広がり、やがて歓喜と涙の渦となる。
「……これが、正しい使い方なんだな」
カイは拳を見つめ、小さく呟いた。
「奪うためじゃなく、支えるために」
「ふん、珍しくいいこと言うじゃない」
エステルが肩をすくめ、微笑む。
「ならあなたが率先して、民衆に渡しなさい」
「おう、任せろ!」
ライオネルが胸を張り、大剣を掲げる。
「これは連邦の民衆のものだ! 取り戻せ!」
歓声が武器庫に響き渡り、武具や財宝は一つ一つ、民衆の手に渡っていった。
それは奪う力ではなく――未来を築く力に変わろうとしていた。




