第218話 崩れ落ちた法廷
崩れ落ちた法廷に、歓声が轟いた。
長く支配されてきた連邦議長メルティナの力は、ついに砕かれたのだ。
「やった……やったぞ!」
誰かの叫びをきっかけに、民衆の声が一斉に爆発する。
「勝ったんだ!」「俺たちは自由だ!」
涙を流しながら抱き合う者、拳を振り上げる者、ただ呆然と座り込む者――。
その姿は、確かに長き絶望の鎖を断ち切った人々の姿だった。
「カイ! お前はやっぱりすげぇよ!」
ライオネルが大剣を背に笑い、カイの肩を叩く。
「全身傷だらけなのに、まだ笑うなんて……本当に無茶をするんだから」
フィオナは涙を拭いながらも、口元には安堵の微笑みを浮かべていた。
「ふふっ、声援があんな力になるなんて……まるで歌の奇跡みたい」
セレナが竪琴を抱き、胸に手を当てる。
「アタシもびっくりしたよ! カイって本当に無茶苦茶なんだから!」
ミラは翼を広げ、民衆の声に合わせて舞い上がる。
「……やはりお前は、折れない男だな」
ルカが静かに言い、ほんの少し口元を緩める。
「ハッ、鉄は叩けば強くなるって言ったろ? お前の拳も鍛えられたってわけだ」
オルドは戦鎚を掲げ、豪快に笑った。
その仲間たちのやり取りに、民衆の笑い声が重なる。
瓦礫の中で、歓声と笑顔が連鎖する。
獣人族の子供が「カイ兄ちゃん!」と叫び、エルフの少女が「ありがとう!」と泣きながら抱きつく。
魚鱗族の少年が拳を突き上げ、「これからは俺たちの時代だ!」と叫ぶ。
声、声、声。
法廷はもはや裁きの場ではなく、勝利と解放の祝祭の広間となっていた。
カイはその光景を眺め、拳を胸に当てて呟く。
「……みんなの力で、勝ち取ったんだな」
その言葉に応えるように、再び歓声が轟き渡った。




