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第217話 絆と願いを籠めた拳

 七色の光を纏うカイ。

 黒金の炎を纏うメルティナ。

 両者は瓦礫と化した法廷の中央で向かい合い、最後の決着を見据えていた。


「……馬鹿な民衆ね。声を張り上げたところで、何が変わるというの」

 メルティナの声は冷徹でありながら、その拳の震えが限界を示していた。


「声は……力になる!」

 カイが応える。

「仲間の絆と、人々の声援。それを全部、この拳に籠める!」


 次の瞬間、光と闇が同時に爆ぜた。

 光剣と黒金の拳が空間を裂き、蒼紅の闘気と七色の輝きが衝突する。


「《債鎖終審撃デットチェイン・ラストヴァーディクト》ッ!」

 メルティナの全力の拳が唸りを上げる。


「うおおおおッ!」

 カイの拳が炎と風と歌と鉄と理知と咆哮を宿し、仲間と民衆の声援を背負って振り抜かれた。


 両者の拳が衝突した瞬間――。


 大地が割れ、天井が吹き飛び、法廷そのものが砕け散るかのような光の奔流が広がった。

 民衆は目を覆い、仲間たちは声を枯らしながらカイの名を叫ぶ。


「カイ――!」

「負けるな!」

「ここで終わらせろ!」


 その声がさらに力を与える。


 カイは全力で拳を押し込んだ。

 瞳に宿るのは、仲間の姿、救った命、人々の笑顔。


「これで終わりだァァァ――!」


 放たれた最終奥義。


絆滅審判拳ユナイト・ジャッジメント・エタニティ


 七色の光柱となって爆裂し、メルティナの黒金の闘気を粉砕した。

 無数の光剣は霧散し、鎖は断ち切られ、闇の力は一瞬で消し飛んでいった。


「……っ……あり得……ない……!」

 メルティナの口から血が溢れ、瞳から冷徹な光が消えていく。

 彼女の身体を包んでいた黒金の装束は崩れ落ち、白銀の裁判衣がひらりと舞った。


「数が……法が……裏切るはずが……」

 メルティナは最後の力で呟き、崩れ落ちる。


 その身体を覆う黒金の光は消え、ただ一人の女性として地に伏した。


 静寂。

 長き戦いの果て、瓦礫と光の中に立つのは――七色の拳を握ったカイだけだった。


「……勝った、のか」

 ライオネルが呟き、剣を掲げる。


「ええ……彼が……勝ったのよ」

 フィオナの頬を涙が伝う。


「みんなの声が……届いたんだ」

 セレナが微笑み、竪琴を抱きしめる。


「カイ……やっぱりあんたは最高だね!」

 ミラが翼を広げ、風を巻き起こす。


「……理想は、夢じゃなかった」

 ルカが低く頷いた。


「鉄の拳だ……いや、それ以上だ」

 オルドが笑い、戦鎚を振り上げる。


 民衆の声援が歓喜に変わり、法廷を覆い尽くした。

 「カイ!」「ありがとう!」の声が波のように押し寄せる。


 カイは息を切らしながら拳を見つめ、微笑んだ。


「……みんなの力で、勝てたんだ」


 その拳は絆と願いを籠めた、世界の希望そのものだった。

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