第213話 絆の拳
崩れゆく法廷。
仲間たちは皆、膝をつき、声を絞るのが精一杯だった。
だが――カイの瞳は絶望ではなく、炎に燃えていた。
「……みんな、まだ立てるか」
カイの声に、仲間たちが顔を上げる。
「当たり前だろ……!」
ライオネルが血を拭い、歯を食いしばる。
「カイ、何を考えてる!」
「メルティナは、《無限債牢》で民衆から力を奪った……なら俺たちもやれるはずだ」
カイは拳を握りしめ、仲間たちを見渡す。
「奪うんじゃない。――絆で繋ぎ、力を託すんだ!」
「絆の力を……?」
フィオナが息を呑む。
「そんなこと、できるの……?」
「信じるしかない!」
カイは叫ぶ。
「お前たちの命、願い、その全部を俺に預けてくれ!
俺は絶対に無駄にしない!」
沈黙ののち、仲間たちの目に光が戻る。
「任せろ、カイ!」ライオネルが大剣を床に突き立てた。
「お前の拳に俺の咆哮を乗せる!」
「理論的には無茶よ……でも、あなたなら……」フィオナが微笑み、杖を差し出す。
「知識と魔法を託すわ」
「歌は流れるものだから。私の声も預ける」セレナが竪琴を撫で、旋律を送る。
「風は後押しするためにあるんだよ!」ミラが笑い、弓を掲げた。
「……お前に背中を預ける」ルカが静かに頷く。
「鉄は打たれて強くなる……なら俺の力も叩き込め!」オルドが戦鎚を拳に重ねる。
仲間全員の力が、蒼紅の光に吸い込まれる。
法廷を包む空気が震え、眩い光が爆ぜた。
「うおおおおおッ!」
カイの身体に、炎、風、歌、鉄、知識、咆哮――すべての力が宿る。
新たな顕現――
「《絆顕現・永劫解放》ッ!」
蒼紅の光は七色に変わり、全身を包み込む。
その輝きは決して消えず、仲間が倒れない限り続く“永続強化”だった。
「なっ……!?」
メルティナの瞳がわずかに揺れる。
「そんな……理論も術式も存在しない……これは――!」
「存在しなかったら、作ればいい!」
カイが構えを取る。
「これが俺たちの必殺……《絆顕現》だ!」




