第208話 仲間の声援
拳と拳が衝突するたび、法廷は雷鳴のように震えた。
黒金の鎖を纏うメルティナの連撃に、カイは必死に食らいついている。
だが、両腕は血に濡れ、膝は今にも崩れそうだった。
「まだ抗うの?」
メルティナの冷徹な声が響く。
「数字の重みを拳に込めたこの力、いずれお前を押し潰す」
「っ……俺は……!」
カイの拳が震える。
力は限界に近づいていた。
その時――仲間たちの声が飛んだ。
「カイ!」
フィオナが杖を掲げ、光を放つ。
「あなたは独りじゃない! 私たちが背中を支える!」
「任せろ、カイ!」
ライオネルが立ち上がり、大剣を床に突き立てる。
「お前は前を殴れ! 俺が横を守る!」
「歌は届いてる……! あんたの拳に重ねて!」
セレナが竪琴を奏で、透明な水流がカイを包み込む。
「みんなの願いが流れ込むのを感じて!」
「カイー! 落ちたらアタシが拾う! だから飛べーッ!」
ミラが翼を広げ、風で瓦礫を吹き飛ばす。
「風はあんたの味方だよ!」
「……お前は、折れない奴だ」
ルカが低く呟き、双鉈を構えたまま睨みを利かせる。
「俺が証明する。立て、カイ」
「お前は鍛冶場の鉄だ。叩かれて強くなる!」
オルドが戦鎚を振り下ろし、床を鳴らした。
「折れるもんか、仲間を背負う鉄拳が!」
仲間たちの声が一斉に重なり、広間に反響する。
その響きは民衆の胸にも届き、やがて歓声の波が巻き起こった。
「カイ!」「負けるな!」「お前が俺たちの光だ!」
その瞬間――カイの拳が再び燃え上がる。
蒼紅の光が眩く弾け、黒金の鎖を押し返した。
「……そうだ、俺は独りじゃない!」
カイの瞳が燃える。
「この拳は、みんなの声を乗せた拳だッ!」




