第207話 理想と現実の衝突
黒金の闘気を纏ったメルティナ。
蒼紅の光を纏ったカイ。
両者が一歩踏み出した瞬間、法廷は雷鳴のごとき衝撃に包まれた。
「行くぞッ!」
カイの拳が閃光となって突き出される。
「甘い!」
メルティナが黒金のガントレットで受け止め、逆に蹴りを繰り出す。
足が床を砕き、カイの腹を抉るように叩き込まれた。
「ぐっ……!」
「理想は脆い」
メルティナの声は冷酷だった。
「数字は積み上がる。現実は揺るがない」
「だから……理想を掲げるんだ!」
カイが血を吐きながらも、蒼紅の拳を振り抜く。
「《焔鱗拳撃》ッ!」
拳に炎と鱗のオーラが迸り、メルティナの肩を打ち据えた。
黒金の闘気が弾け、メルティナの身体がわずかに揺れる。
だがすぐに笑みを浮かべた。
「その程度で私を揺るがせると思うの?」
彼女の両腕に黒金の稲光が走る。
「《債魂連鎖拳》!」
千の怨嗟を重ねた連撃が降り注ぎ、カイは嵐のような拳に押し込まれていく。
「カイッ!」
仲間たちが叫ぶ。
「まだだ……!」
カイが拳を交差させ、必死に耐える。
蒼紅の光が再び強く燃え上がる。
「俺は……仲間を、救った命を……背負ってる!
理想は脆くなんかないッ!」
拳と拳が衝突し、光と闇の波動が法廷を揺るがす。
窓が割れ、天井から瓦礫が落ちても、両者の拳は止まらない。
観客の民衆は息を呑み、二つの「正義」が衝突する瞬間を見つめていた。




