表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
203/247

第203話 最終弁論

 《無限債牢》が打ち破られた法廷は、熱と光に包まれていた。

 だがその中央で、メルティナはなおも毅然と立ち続けていた。


「……力で鎖を断ち切った。それは見事だわ」

 メルティナの口元に、皮肉な笑みが浮かぶ。

「けれど――力で法は変えられない。数字は依然として揺るがない」


「数字が真実じゃない。人の命こそ真実だ!」

 カイが真っ直ぐに返す。

「数字に記されない救いがある。俺たちはそれを見てきた!」


「感情に溺れるな!」

 メルティナが鋭く言い放つ。

「感情は移ろう。だが数字と法は永遠だ。

 だからこそ人を支配できる。だからこそ文明は進歩する!」


「違う!」

 カイの声が広間を震わせる。

「支配じゃない。人が人を支え合うから未来がある!

 法も数字も、それを守るためにあるんだ!」


 傍聴席がざわめきに包まれる。

 民衆の目は、議長と旅人の間を行き来していた。


「……甘い理想だ」

 メルティナは冷笑する。

「理想で腹は膨れない。理想で国は動かない。

 ――現実を知らぬ夢想家の戯言だ」


「理想を笑うな!」

 カイが一歩踏み出す。

「確かに俺はまだ未熟だ。何度も失敗して、仲間を傷つけもした。

 だけど! それでも理想を掲げなきゃ、誰も救えない!」


 その言葉に、仲間たちが次々と頷いた。

「そうだな」ライオネルが剣を掲げる。

「こいつは不器用だが、理想を信じる力だけは誰よりも強い」


「私も同意するわ」フィオナが冷ややかに微笑む。

「理屈だけで世界は動かない。理想を掲げる者がいるから、私たちは歩ける」


 セレナが竪琴を鳴らし、歌声を重ねる。

「理想は夢じゃない。――私たちがここに生きている証」


 ミラが拳を掲げる。

「そうそう! 理想ってやつはカッコイイんだよ! アタシも乗った!」


 ルカが低く呟く。

「……理想を笑うな。戦士は理想を守るために戦う」


 オルドが戦鎚を地に叩きつけた。

「理想を支えるのが鉄だ。――だから俺は、この拳で支える!」


 仲間たちの声が広間に響き渡り、民衆の胸を打った。

 数千の傍聴席が揺れ、歓声と涙が混ざり合う。


「……まだ、民衆を掴めるつもりか」

 メルティナの声は震えていた。

「だが、法は……数字は……!」


「法も数字も、人を守るための道具だ!」

 カイが拳を掲げる。

「道具を人を縛るために使うお前には、絶対に負けない!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ