第202話 総力戦
法廷全体を覆う黒と金の閃光――《無限債牢》の圧力はさらに強まり、仲間たちを容赦なく締め付けた。
その鎖は肉体だけでなく、魂そのものを蝕むように絡みつく。
「……まだ抗う気?」
メルティナの声は冷ややかだった。
「債務は必ず返済させる。それが法。例外はない」
「なら……その法ごとぶち壊してやる!」
ライオネルが吠え、獅皇剣を強引に振り上げる。
「《獅子咆哮斬》ッ!」
鎖を引き裂くように大剣が閃き、轟音が響いた。
「私も……負けない!」
フィオナが蒼樹の杖を掲げる。
「《万象律詠》――!」
六属性の魔法陣が円環状に展開し、虹色の光線が鎖を焼き払った。
「負債? 冗談じゃないね!」
ミラが風弓を引き絞り、笑う。
「アタシの矢は借り物じゃなく、自由そのものさ!
《天翔絶嵐》ッ!」
雷光を伴う竜巻が放たれ、鎖をまとめて吹き飛ばす。
「なら私の歌で抗うわ!」
セレナが竪琴を爪弾き、旋律を響かせる。
「《海歌の調べ》――!」
水流の波紋が仲間を包み込み、奪われた魔力を一時的に循環させて取り戻す。
「ふん……借り物だと? 俺の鉄は俺が鍛えたものだ!」
オルドが戦鎚を掲げ、地を踏みしめた。
「《轟鉄戦鎚・崩滅轟衝》ッ!」
地鳴りのごとき一撃が鎖を砕き、法廷の床を揺らした。
「……無駄口は要らん」
ルカが低く呟き、双鉈を交差させる。
「《鬼神爆裂斬》ッ!」
赤黒い斬撃が迸り、残る鎖を粉々に切り裂いた。
仲間たちの技が重なり合い、法廷を覆っていた《無限債牢》がついに軋む。
裂け目から光が溢れ、鎖は次々と消滅していった。
「これが……俺たちの力だ!」
カイが蒼紅の光に包まれ、拳を握りしめる。
「借り物じゃない。仲間と歩んできた証だ!」
民衆の声が再び法廷を揺らす。
「そうだ!」「彼らに救われた!」――その声援が力となり、最後の鎖を打ち破った。
「……馬鹿な」
メルティナの顔に初めて焦りが走る。
「《無限債牢》を……力で断ち切っただと……!?」
法廷は歓声と光に包まれた。
だが、議長メルティナの冷徹な瞳には、まだ諦めの色はなかった。




