第199話 メルティナの反撃
証言の波が法廷を揺らしていた。
民衆は次々と立ち上がり、救われた命の声を重ねる。
数字の冷たさを越え、温かな真実が広間を満たしていた。
「……ふふ」
メルティナが唇に皮肉な笑みを浮かべた。
「確かに見事ね。観客の心を掴む劇としては完璧だわ」
彼女が金色の書板を掲げると、法廷の床一面に契約魔法陣が広がった。
「だが忘れたのかしら。ここは“裁判所”――つまり私の舞台。
あなたたちの証言が真実かどうか、今ここで“法”に問うことができる」
契約呪術――《法典拘束》
光の鎖が迸り、仲間たちの身体を絡め取った。
「ぐっ……!?」
ライオネルの剣が床に落ちる。
「こ、これは……!」
「ちょっと!? 動けないんだけど!」
ミラが羽ばたこうとするが、翼すら縛られている。
「まさか……契約魔法で、証言を強制的に“偽”にできるの?」
フィオナが顔色を変えた。
「そうよ」
メルティナの声は冷酷だった。
「この場に立つ者すべてに“契約”を強制できる。
もし少しでも矛盾があれば、その瞬間に法廷は“虚偽”と認定する」
「そんな無茶苦茶が……!」
セレナが叫ぶが、その喉も鎖に締め付けられ、声が掠れる。
「……数字は嘘をつかない。だからこそ、法は私の掌にある」
メルティナの瞳が冷たく輝く。
「さぁ――異端の旅人たちよ。今度はあなたたちの“罪”を証明する番よ」
拘束された仲間たちは身動きできず、広間の空気は再び凍りついた。
だがカイだけは、鎖に縛られながらも拳を握りしめていた。
「……ふざけるな。俺たちの歩みが偽りだって?
そんなもん、絶対に認めねぇ!」
蒼紅の光が彼の周囲に溢れ、鎖が軋みを上げる。




