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第194話 裏銀行急襲

 夜明け前の連邦は、まだ街の灯りが消えぬまま、金の取引が続いていた。

 その一角――高い石壁に囲まれた建物があった。

 そこは商人たちの「金庫」であり、裏銀行の心臓部。


「ここか……」

 ライオネルが剣に手を添え、低く呟く。


「表向きは倉庫。でも中には帳簿と金貨、そして議会に繋がる裏の契約が眠っている」

 エステルが冷静に答える。

「奪うのは金じゃない。――証拠となる紙よ」


「紙切れ一枚が国を揺るがす……妙な話だ」

 オルドが唸る。

「だが鍛冶屋の俺でも分かる。武器は鉄だけじゃないってことだな」


 潜入作戦は静かに始まった。

 ミラが先陣を切り、翼を広げて屋根へ舞い上がる。

「やっほー! こっちは見張りゼロだよ!」


 ルカが無言で頷き、扉の前の衛兵を一瞬で斬り伏せる。

「……進め」


 フィオナが緑の魔法陣を展開し、光の葉で足音を消す。

「これで中に入っても気付かれにくいはずよ」


 建物の内部は、金貨の山と羊皮紙の束で溢れていた。

 豪奢な燭台に照らされ、金の輝きが壁に反射している。


「おいおい……とんでもねぇ量だな」

 ライオネルが呆然とする。


「見ろ。全部“数字の鎖”だ」

 エステルが目を細める。

「これが民衆を縛っている」


 その時、奥の部屋から足音が響いた。

 黒衣の影たちがぞろぞろと現れる。


「やはり罠か……!」

 カイが拳を握りしめる。


「構わん、やるぞ!」

 ライオネルが前へと躍り出た。


「《獅子咆哮斬ライオンズロア》!」

 大剣が獣のように咆哮し、敵をまとめて薙ぎ払う。


「《森羅裁断ジャッジメントリーフ》!」

 フィオナの光葉が空を裂き、黒衣たちを絡め取る。


「歌で沈めるわ。《海歌の調べ》!」

 セレナの旋律が響き、敵の意識を奪った。


「……行け、カイ!」

 ルカが背後を守りながら叫ぶ。


「任せろ!」

 カイは光の拳で金庫を破り、積み上げられた帳簿の束を掴み取った。

 その瞬間、建物全体が揺れる。


「罠か!?」

 オルドが叫ぶ。


「……いいえ」

 エステルが帳簿を開き、目を走らせる。

「議会が最も隠したかった証拠を、今、手に入れたのよ」

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