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第190話 暗殺の影

 連邦の夜は華やかでありながら、底知れぬ闇を孕んでいた。

 豪奢な酒場や劇場が並ぶ通りの裏手では、血の匂いと金の臭いが混ざり合う。


「標的は――異端の旅人たち」

 低い声が路地裏に響く。


 影の中に佇むのは、黒衣に身を包んだ刺客たち。

 その背には毒塗りの短剣、暗器、呪符。

 いずれも連邦議長メルティナに仕える“影の司法官”たちだった。


「議長の命令だ。奴らを明日の朝までに消す」


 一方その頃、カイたちは宿で作戦会議を続けていた。


「市場の動揺は順調に広がってる。……でも、向こうも手を打ってくるはず」

 エステルは冷静に地図を広げる。


「だろうな。正面から来るならまだ分かりやすいんだが……」

 ライオネルが腕を組む。

「敵は“法”を武器にする連中だ。卑怯な手も平気で使うはずだ」


「まさにそうだな」

 ルカが低く頷いた。

「……油断するな。夜の影に潜むものほど厄介だ」


 その言葉を裏付けるように――。

 宿の窓枠に、音もなく忍び寄る黒い影があった。


 月明かりの下で、毒刃が鈍く光る。


「……っ!」

 ルカが真っ先に気配を察し、大鉈を振り抜く。

 窓を突き破って飛び込んできた刺客の短剣を弾き飛ばした。


「ちっ……もう来やがったか!」

 ライオネルが剣を抜き放つ。


「みんな、構えて!」

 カイの声が響き、仲間たちはそれぞれ武器を手に取った。


「“紙の戦争”じゃ済まないってことね」

 エステルが冷ややかに呟く。

「議長はもう私たちを脅威と認めた。だからこそ、影を差し向けてきたのよ」


「なら、ここで返り討ちにしてやる!」

 ミラが翼を広げ、矢を番える。


 闇に潜む刺客たちが一斉に姿を現す。

 その数は十、いや二十以上。

 宿の屋根も路地も、黒衣の影で埋め尽くされていた。


 ――連邦の夜に、血の匂いが漂い始めた。

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