第175話 天空都市どんちゃん騒ぎ
夜空の下、祝宴は盛り上がりの真っ只中だった。
翼人族の歌姫たちが舞い、果実酒の樽が次々と空になっていく。
仲間たちもそれぞれ杯を手にし、笑顔を見せていた――その時。
「……どん、どん、どどんっ!」
突然、腹に響く太鼓の音が鳴り響いた。
「……え? このリズム……まさか……」
セレナが目を瞬かせる。
「おいおい、またかよ……!」
ライオネルが頭を抱える。
広場の隅から、にやりと笑いながら現れたのは――魚鱗族のハルドだった。
肩に抱えた巨大な太鼓を叩きながら、堂々と行進してくる。
「よぉ! 祭りと聞いちゃ黙ってらんねぇだろ!」
ハルドは太鼓を鳴らしながら、まるで当然のように輪に加わった。
「なんでいつもタイミングよく現れるのよ!」
フィオナが呆れた声を上げる。
「いやぁ、太鼓の音は風に乗るんだよ! 呼ばれちまったのさ!」
ハルドは笑い、ドドンと力強く叩く。
リズムが宴会場全体に広がり、翼人たちが舞い始めた。
「よっしゃ、アタシも乗る!」
ミラが翼をバサッと広げ、太鼓に合わせて踊り出す。
「やっほー! リズム最高!」
「くっ……笑っちまう……!」
オルドも戦鎚で樽を叩き始め、即席の打楽器隊を結成。
「弟分、オレたちもやるぞ!」
ライオネルがカイの腕を引っ張る。
「えっ、俺は……って、ちょ、引っ張るな!」
気付けば広場全体が太鼓のリズムに呑まれていた。
翼人族の子どもたちが羽をパタパタさせながら行進し、老人までもが手拍子で参加する。
「やっぱり宴はこうでなくちゃな!」
ハルドがドドンと締めの一打を放ち、広場は笑いと歓声で包まれた。




