第168話 限界の先へ
雷雲はまだ都市を覆っていた。
だが、仲間全員が放った新たな必殺技により、都市はかろうじて空に留まっている。
「はぁ……はぁ……」
フィオナが杖を握りしめながら、肩で息をしていた。
「これ以上は……魔力の維持が……」
「オレも……骨が折れるな……」
オルドが戦鎚を支えにして、荒く息を吐く。
「アタシだって……さすがに矢を撃ちすぎた……」
ミラが膝をつき、震える指で弓を握りしめた。
「まだ……終われない……!」
ライオネルが大剣を杖代わりにし、血を滴らせながらも立ち上がる。
セレナの歌声も、すでに掠れていた。
「みんなを……支えたいのに……声が……」
仲間たちは限界を迎えつつあった。
それでも誰一人として、武器も歌も手放さなかった。
「……みんな……」
カイは仲間たちを見回し、拳を握りしめる。
その目に宿ったのは、絶望ではなかった。
全員が、限界を超えてなお前を向いている。
その姿に――胸の奥で熱が溢れ出す。
「俺は……一人じゃない……!」
紅と蒼の光がカイの体を包み込む。
そこに仲間の力が響き合い、さらに白と金の光が混じり始めた。
「なに……!?」
ヴォルテクスの瞳が初めて大きく揺れる。
カイの背に、仲間たちの魔力が糸のように結びつく。
フィオナの冷徹な理、セレナの旋律、ミラの風、ライオネルの咆哮、オルドの大地――
それぞれの力が重なり、ひとつの輝きへと収束していく。
「これが……俺たちの力……!」
カイの声が雷鳴に響いた。
紅、蒼、白、そして金の光が爆発的に広がり、竜巻と雷雲を押し返す。
都市に差し込んだ光は、まるで希望そのものだった。
「馬鹿な……! まだ立ち上がるというのか!」
ヴォルテクスが狂気混じりに吠える。
「そうだ……!」
カイが拳を握り、仲間たちの光を纏う。
「俺たちは限界を超えて……ここでお前を倒す!」




