第167話 禁呪の発動
空を裂き、雷雲が一つに収束していく。
都市全体を包み込む光の牢獄――それは、滅びを告げる鐘の音のように響いていた。
「掟も仲間も不要だ……全て嵐に葬ってやる!
《雷獄嵐葬》ッ!」
ヴォルテクスの叫びと共に、天空を覆う雷撃の奔流が都市へと降り注ぐ。
「来るぞ! 全力で迎え撃て!」
カイが紅と蒼に輝く瞳を燃やし、拳を構えた。
「《混血顕現――二重解放》ッ!」
巨人の腕が雷を受け止め、魚鱗の盾が流れを弾き、炎のような光を拳に宿して雷雲へ反撃する。
「私も行くわ――!」
フィオナが冷徹に詠唱し、杖を突き上げる。
「《雷霆森域結界》!」
大樹の魔法陣が空へ伸び、雷光を絡め取る葉と枝が都市を覆う。
「海の神々よ、歌を聞け――!」
セレナの旋律が都市全体に響き渡る。
「《蒼海神譚歌》!」
大海の幻影が空に広がり、水の揺り籠が雷の奔流を受け止めた。
「この咆哮で押し返す!」
ライオネルが大剣を天に掲げる。
「《獅皇烈天破》!」
黄金の獅子が咆哮し、太陽のような衝撃波が雷を裂いた。
「オレの鎚を舐めるなァ!」
オルドが戦鎚を地に叩きつけ、大地に紋様が走る。
「《轟砕天槌陣》!」
地の震動が逆流し、都市そのものを守る盾となった。
「アタシもまだまだだよ!」
ミラが短弓を構え、矢を乱射する。
「《翔風鳴天矢》!」
風と雷を呼ぶ旋律の矢雨が嵐を貫き、禁呪の光を打ち砕いた。
轟音と共に、雷雲が裂けた。
都市は崩壊寸前ながらも、まだ空に留まっている。
「……防いだ……!」
フィオナが杖を突き、荒い息を吐く。
「でも……消耗が激しすぎる……」
セレナの声もかすれていた。
仲間全員が膝をつきかけながらも、まだ武器を手放していなかった。
「ハァーハッハッハ! 面白い……!
ここまで俺の嵐を防いだのは初めてだ……だが、それで終わりかァ?」
ヴォルテクスが狂気に笑いながら再び翼を広げる。




