第165話 総力戦
都市を引き裂く竜巻の群れ。その中心に立つヴォルテクスは、雷光を纏った翼を大きく広げていた。
「ハァーハッハッハ! もっと抗え! 絶望が深ければ深いほど、この嵐は強まるのだ!」
だが――仲間たちは怯まなかった。
「じゃあ、アンタの嵐を切り裂いてやるよ!」
ミラが矢を番え、翼を大きく羽ばたかせる。
「《疾風乱翔》ッ!」
風を纏った矢の雨が空を覆い、竜巻を切り裂きながらヴォルテクスを狙う。
その隙を狙い――。
「今度は私が行くわ」
フィオナの杖が緑と雷の魔力を放ち、魔法陣が幾重にも展開する。
「《万象律詠》!」
六属性の光線が円環から放たれ、竜巻の軌道をねじ曲げた。
葉と雷の閃光が一条となり、ヴォルテクスを正面から撃ち抜く。
「ぐぅ……!」
ヴォルテクスが翼で防ぐが、軌道が揺らぎ、嵐の流れがわずかに乱れた。
「なら、俺も吠える番だ!」
ライオネルが地を蹴り、大剣を振り抜く。
「《王獣轟破》ッ!」
獅子の如き咆哮が大剣と重なり、衝撃波となってヴォルテクスを直撃した。
雷翼が火花を散らし、ヴォルテクスの体が一瞬揺らぐ。
「おうよ、オレも忘れんな!」
オルドが戦鎚を高々と掲げ、鎖を軋ませる。
「《轟渦崩槌》ッ!」
渦を巻く一撃が飛空艇をまとめて粉砕し、ヴォルテクスの後ろ盾を削ぎ落とした。
「みんな……!」
カイが拳を燃やし、紅と蒼の光を解き放つ。
「俺も行く! 《混血顕現――二重解放》ッ!」
拳に炎と水の渦が絡み合い、巨人の力で叩き込む。
雷光と激突し、空を震わせる衝撃が広がった。
「……なに!?」
ヴォルテクスの仮面の奥――いや、素顔の瞳が初めて驚愕に揺れた。
「押せる……!」
セレナが竪琴を奏で、旋律に力を宿す。
「《蒼潮交響詠》!」
水の流れが仲間の動きを加速させ、矢と剣と鎚と拳が次々と嵐を切り裂いていく。
都市を揺らすほどの激闘。
雷光と風と水と光が交差し、ヴォルテクスの嵐が少しずつ押し返されていく。
「これが……お前一人じゃない、仲間の力だッ!」




