第164話 嵐帝乱舞
ヴォルテクスの翼が大きく広がり、雷雲が都市全体を覆い尽くした。
空気が震え、住民たちの悲鳴が響き渡る。
「見せてやる……これが嵐の王の裁きだ!
《嵐帝乱舞》ッ!」
轟音と共に、いくつもの巨大竜巻が都市を包囲した。
塔は引き裂かれ、空橋はもぎ取られるように崩壊し、住民たちが空へ吸い込まれていく。
まさに天空都市そのものが嵐の中で粉砕されようとしていた。
「くっ……こんな……!」
フィオナが必死に魔法陣を展開し、風を遮ろうとする。
「風の流れが狂ってる……制御が利かない!」
ミラが叫びながら必死に矢を放つが、竜巻の奔流にかき消される。
「水よ、流れを支えろ――!」
セレナの旋律が水の盾を生み、吸い込まれる住民を押し戻す。
だが、それでも数が多すぎた。
「みんなを守るんだ……!」
ライオネルが獅子の咆哮を上げ、大剣を叩きつける。
「《王獣轟破》!」
衝撃波が竜巻の一部を切り裂き、避難路を開いた。
「俺も行くぞォ!」
オルドが戦鎚を振り抜き、石畳を砕いて振動で竜巻の流れを乱す。
「……なら、俺も出し惜しみはしない!」
カイが紅と蒼の光を爆発させる。
「《混血顕現――二重解放》ッ!」
巨人の腕と魚鱗の盾を纏った拳が竜巻に突き刺さり、一瞬だけ風壁を押し返す。
「まだだ……! 俺たちは、まだ立ってるッ!」
だが、ヴォルテクスは高笑いを上げた。
「ハァーハッハッハ! その程度で嵐を止められるかァ!
俺こそが空の掟! 抗う者は皆、嵐に沈めッ!」
雷光が竜巻に絡み、暴風はさらに強まっていく。
都市全体が軋みを上げ、瓦礫と共に空へと吸い込まれていった。
「くそっ……!」
ライオネルが歯を食いしばる。
「このままじゃ、都市ごと終わっちまう!」
「まだ……希望はある!」
カイが叫ぶ。
「仲間が繋いだこの一瞬を……俺たちの反撃に変えるんだ!」




