第159話 絶望の空中戦
天空都市は崩壊の最中にあった。
空橋は砕け落ち、塔は竜巻に呑まれ、住民たちの悲鳴が四方から響く。
その上空で、ヴォルテクスの狂笑が雷鳴と共にこだました。
「ハァーハッハッハ! 逃げ惑え! 嵐の裁きからは誰も逃れられん!」
「急げ! 市民を助けろ!」
ライオネルが怒号を飛ばし、瓦礫に押し潰されかけた翼人を大剣で退かして救い出す。
「おい、しっかりしろ!」
彼は抱え上げた少年を母親に渡し、次の現場へ走った。
「水よ、翼を守れ――《蒼潮交響詠》!」
セレナの歌声が広場に響き、水の幕が落下する瓦礫を受け止める。
その間に市民が次々と避難していった。
「助かる命は助ける……でも、数が多すぎる!」
セレナの額に汗がにじむ。
「雷光よ、彼らを遮れ――!」
フィオナの杖から雷の閃光が奔り、飛空艇から撃ち込まれた魔導弾を弾き返す。
「これ以上、都市を壊させはしない!」
だがすぐに新たな竜巻が生まれ、彼女の魔法を呑み込んだ。
「はぁああっ!」
オルドの戦鎚が飛空艇の砲座を叩き壊す。
「だがキリがねぇぞ!」
次から次へと降下してくる空賊団。
その背後には常にヴォルテクスの影があった。
「《混血顕現》ッ!」
カイが紅と蒼の光を纏い、飛び込んできた空賊をまとめて拳で薙ぎ払う。
だが――。
「遅いわ、混血の小僧ォ!」
ヴォルテクスが雷翼を広げ、《雷翼覇衝》で突撃してきた。
轟音と閃光。
カイの体が吹き飛ばされ、空橋を砕きながら地へ叩きつけられる。
「カイ!」
仲間たちの叫びが響く。
「見ろ、この無力さを!」
ヴォルテクスが嘲笑い、嵐をさらに強める。
「空の支配者は俺ただひとり! 掟を壊し、新たな掟を俺が刻む!」
雷雲に照らされる彼の姿は、まさに空の暴君だった。
崩壊する都市、絶望の空。
だがカイは、血に滲む拳を握りしめ、立ち上がる。
「……まだだ。俺は……まだ、折れない!」




