第155話 捕縛と脱出
評議会を後にした直後、塔の外で待ち構えていた衛兵たちが一斉に槍を構えた。
その目には迷いはなく、ただ冷酷な掟への忠誠だけが宿っていた。
「評議会の命令だ。異端者どもを捕らえよ!」
叫びと同時に、鎖付きの矢が放たれる。
カイたちの手足に絡みつき、瞬く間に拘束していった。
「くっ……!」
カイがもがくが、数十人の兵が一斉に力をかければ巨人の力を持つ彼でさえも動きが鈍る。
「放せっ、この野郎!」
ライオネルが咆哮し、大剣を振るうが、網のように降り注ぐ鎖矢に動きを封じられていく。
「無駄よ……これは掟を破った者を縛る“戒鎖”」
フィオナが悔しげに目を細める。
「ただの鉄じゃない、呪印が刻まれてる……!」
鎖に絡め取られ、膝をつかされる仲間たち。
翼人奴隷たちも恐怖に震え、再び捕らわれるのかと絶望の色を浮かべた。
「……やっぱり、こうなるのね」
ミラが低く呟いた。
そして――次の瞬間、彼女は大きく翼を広げた。
「やっほー! 掟なんて知るか! 《疾風乱翔》!」
緑と白の風帯をまとった矢が一斉に放たれ、鎖を切り裂く。
竜巻のような風圧が広場を駆け抜け、衛兵たちを吹き飛ばした。
「カイ、立て!」
ミラが叫ぶ。
「……ああ!」
鎖が裂けた瞬間、カイは拳を振るい敵兵を薙ぎ払った。
「急げ、今のうちに!」
オルドが仲間たちを抱え起こし、ライオネルが前を切り開く。
フィオナは素早く呪文を紡ぎ、霧の幕を張った。
「《霧幻障壁》……これで追跡を遅らせられる!」
広場を駆け抜け、狭い路地へ。
奴隷たちを守りながら、仲間たちは都市の影に身を隠した。
「ふぅ……助かったな」
ライオネルが荒い息を吐く。
「掟がどれだけ腐ってるか、はっきり分かったでしょ」
ミラが肩で息をしながらも笑った。
「ありがとう、ミラ」
カイが真剣に言うと、彼女は照れ隠しのように「やっほー!」と返した。




