第148話 浮遊山脈の関門
草原の果て、雲を突き抜けるようにそびえる浮遊山脈が姿を現した。
岩肌が空に浮かぶように連なり、その隙間からは雷光と風の奔流が吹き荒れている。
「……これが天空都市への道」
ミラが羽を震わせ、真剣な顔で呟く。
「掟を守らない者は通れないって言われてる、“空の関門”さ」
近づいた瞬間、轟音が大地を揺らした。
渦を巻く竜巻がいくつも立ち昇り、まるで侵入者を拒むかのように進路を塞いでいる。
さらに岩壁に刻まれた古代の紋様が淡く輝き、結界が空を覆っていた。
「なんて防御だ……まるで天然の砦だな」
オルドが唸り、戦鎚を構えた。
「突破できるの?」
セレナが不安げにカイを見る。
「できるかどうかじゃない……やるしかないんだ」
カイが拳を握りしめた。
「やっほー! こういう時こそアタシの出番!」
ミラが短弓を構え、翼を広げる。
「風は風で裂く! 《疾風乱翔》!」
緑と白の光帯を描く矢が放たれ、竜巻の一部を切り裂いた。
だがすぐに別の渦が生まれ、道を閉ざす。
「力押しじゃ意味がない……」
フィオナが杖を掲げ、冷静に魔法陣を展開する。
「なら、理で制する。《万象律詠》!」
六属性の魔法陣が円環状に展開し、火と水が渦を抑え、雷が結界を揺らした。
一瞬だけ、竜巻が緩み、結界が歪む。
「今だ、カイ!」
フィオナの声が響く。
「――《混血顕現》!」
カイが拳を振り抜くと、巨人の力と魚鱗の防御が一体化し、渦を貫いた。
竜巻が裂け、結界に亀裂が走る。
「オルド!」
「任せろッ! 《隕鉄流星》!」
戦鎚が地を砕き、振動が岩肌を伝って結界を打ち砕いた。
轟音と共に、竜巻が消散する。
風が穏やかになり、空への道が開けた。
「すごい……本当に突破した……!」
翼人奴隷たちが歓声を上げる。
「これで道は開けたわね」
フィオナが深く息を吐く。
「ははっ、空の掟? アタシたちに通用するかってんだ!」
ミラが翼を広げ、青空へと舞い上がる。




