第147話 天空都市への旅立ち
草原の風が吹き抜ける。
墜落した航空艦の残骸を背に、カイたちは翼人奴隷たちを連れ出していた。
折られた翼を抱える者、怯えて歩く子供――誰もが疲れ切っていたが、瞳には「帰りたい」という光が宿っていた。
「アンタら、本当に一緒に来てくれるのか?」
ミラがカイの横に舞い降りる。
「ああ。ここで放っておけるかよ」
カイは真剣な瞳で頷いた。
「掟だのなんだのがあっても、君たちの故郷に帰る権利はある」
「ふふ……やっぱ変わってるね、アンタ」
ミラはにっと笑い、空を見上げた。
「なら決まり! 目的地は天空都市――浮遊山脈の頂きさ!」
「浮遊山脈……名前からしてロクでもねぇ場所だな」
ライオネルが大剣を担ぎ、肩を回す。
「だが弟分……いやカイが行くなら、俺も行くぜ!」
「お前のその猪突猛進さ、嫌いじゃないぜ」
オルドが笑い、背負った戦鎚を叩いた。
「……危険なのは間違いないわ」
フィオナは冷ややかに言いながらも、翼人奴隷の子供を支える手は優しかった。
「みんな……ありがとう」
セレナが竪琴を抱き、静かに奏でる。
蒼い旋律が流れ、傷ついた翼人たちの顔に安らぎが宿る。
「やっほー! 出発だ! アタシに任せな!」
ミラが両翼を大きく広げ、勢いよく空へ舞い上がる。
その明るい声が、奴隷解放者たちの胸に希望を灯した。
こうして――カイたち一行は新たな目的地、天空都市へ向けて歩み出す。
浮遊山脈の向こうには、掟と排斥の壁が待ち受けているとも知らずに。




