第146話 翼人の少女ミラ
墜落した航空艦の内部は、鉄と血と鎖の匂いに満ちていた。
壁際に繋がれた翼人族たちは、怯えた目でこちらを見つめている。
その中で、一人の少女が立ち上がった。
白銀の羽を震わせ、折れた首輪を握りつぶす。
短弓を抱えたその姿は、他の奴隷たちとは違う強さを宿していた。
「……アンタたち、地上の人?」
少女は鋭い眼差しをカイに向けた。
「ああ、俺たちは奴隷を解放するために戦ってる」
カイが答えると、少女は口角を上げた。
「やっほー! 助けてくれてありがと!
アタシはミラ・スカイフェザー、翼人族のハーピーさ!」
軽い調子の自己紹介に、ライオネルが目を丸くする。
「おいおい……囚われてたばかりなのに、その元気はなんだ」
「元気じゃなきゃ、生き残れないだろ?」
ミラは肩をすくめ、にっと笑った。
「……軽薄そうに見えるけど」
フィオナが小さくため息をつく。
「意外と肝が据わってるのかもね」
「お堅いお姉さんに言われたくないなぁ」
ミラは悪戯っぽく返し、フィオナの眉をぴくりと動かせた。
その場の空気が少しだけ和らぎ、セレナも微笑む。
「ふふ……仲間が増えるのは心強いです」
カイはミラを見つめ、真剣な声で言った。
「ミラ……君の故郷は天空都市なんだろ? そこに帰りたいはずだ」
一瞬だけ、彼女の笑みが翳った。
「……そうだね。掟がどうのってうるさい場所だけど、翼人族の故郷だから」
「なら、俺たちも一緒に行く。鎖を断ち切るために」
カイの言葉に、ミラの瞳が揺れた。
「ふふ……変わってるね、アンタ。
でも――気に入った! アタシに任せな!」




