第145話 墜ちた航空艦
草原に散らばる公国兵たちが次々と地に伏していく。
ライオネルの大剣が風を裂き、オルドの戦鎚が地を震わせ、フィオナの魔法が敵陣を切り刻んだ。
カイも拳を振るうたびに紅と蒼の閃光を走らせ、数の優位を打ち砕いていく。
「これで終わりだ!」
最後の兵を叩き倒すと、戦場に静寂が戻った。
その時、頭上で轟音が響いた。
降下兵を運んできた航空艦が高度を下げ、撤退する素振りもなく低空で旋回している。
「まだ戦うつもりか……!」
カイが拳を握りしめた。
「いや、動きがおかしい」
フィオナが目を細める。
「積み荷を守ろうとしている……」
「なら――叩き落とすしかねぇな!」
ライオネルが地を蹴り、大剣を振りかざす。
「任せろ!」
オルドが戦鎚を構え、鎖を巻き付けて大地を砕く。
「《隕鉄流星》ッ!」
戦鎚が炎のような衝撃をまとい、地を這う一撃が放たれる。
轟音と共に大地が裂け、航空艦の翼に直撃。
機体が悲鳴を上げ、バランスを崩して墜落していった。
砂煙を上げて傾いた艦体。
カイたちは即座に駆け寄り、扉をこじ開ける。
――鎖の音。
「やっぱり……!」
カイの紅と蒼の瞳が怒りに燃える。
そこにいたのは、翼を折られ、首輪で繋がれた翼人族の奴隷たちだった。
恐怖に震え、目を逸らす彼ら。
「公国は……空の民まで奴隷に……!」
セレナが唇を噛む。
「安心しろ、もう大丈夫だ」
カイが静かに言い、鎖に拳を叩き込む。
鉄が砕け散り、翼人族の瞳に初めて光が戻った。
「……助けて、くれるのか?」
一人の翼人がかすれた声で問う。
「もちろんだ」
カイは力強く頷いた。
「俺たちは、鎖を断つためにここまで来たんだ」
翼人奴隷の群れの中に、一際鋭い瞳を持つ少女の姿があった。
白銀の羽を震わせ、折れた首輪を握り締めている。




