第136話 解放の鎖
広間の奥。
重苦しい空気の中、無数の鎖が石壁に張り巡らされていた。
そこに繋がれているのは、獣人、精霊族、魚鱗族、翼人――様々な種族の奴隷たちだった。
目は虚ろで、体は衰弱し、震える声だけが響く。
「……助けて……」
「もう……殺さないで……」
その姿に、カイの胸は締め付けられる。
自分もまた鎖に繋がれた存在だった。
だからこそ、彼らを放ってはおけなかった。
「大丈夫だ……もう恐れるな」
カイは鎖に手を伸ばし、拳に力を込めた。
「俺が断ち切る!」
「――ッ!」
紅と蒼の光が走り、《混血顕現》の力で鎖を叩き砕く。
鉄は粉々に弾け飛び、繋がれていた者たちが自由を取り戻した。
「俺もやるぞ!」
ライオネルが大剣を振り抜き、鎖を次々と断ち切る。
「ガハハ! こんなもん、俺の剣の前じゃ紙同然だ!」
「あなたたちはもう自由よ」
フィオナが穏やかに告げ、光の葉で拘束をほどいていく。
「恐怖を洗い流しましょう」
セレナが竪琴を奏で、蒼い旋律が響いた。
怯えていた奴隷たちの表情に、わずかだが安堵の色が戻っていく。
「さぁ、立て! お前たちはもう奴隷じゃねぇ!」
オルドの豪声が響き、鎖を失った仲間たちが一人、また一人と立ち上がった。
広間に光が差し込んでいるかのように、空気が変わっていく。
怯えていた声は歓声へと変わり、涙と笑いが溢れ出した。
「ありがとう……!」
「こんな日が来るなんて……」
カイは彼らの姿を見て、拳を強く握った。
「この鎖を……世界からすべて断ち切る。そのために、俺は進む」




