第120話 影の傭兵団
罠と魔物を突破し、さらに奥へと進むカイたち。
地下交易路は次第に広がり、巨大な岩窟のような空間へと繋がっていた。
松明が灯るその場所で、一行を待っていたのは――黒装束に身を包んだ男たち。
十人、二十人……数え切れない。
目だけを光らせる彼らは、まるで砂漠の闇そのもの。
「……来たか、“解放者”ども」
先頭に立つのは長身の男。片目に黒布を巻き、両手に短剣を構えている。
「俺たちは“大奴隷商ギルド”直属――影の傭兵団だ。
ここから先は、金で買われた命の通路だ。異物は砂に還ってもらう」
「任せろ! 俺が前に立つ!」
ライオネルが咆哮し、大剣を振り上げる。
「待て、敵の数は多い!」
フィオナが冷静に制止するが、ライオネルは笑みを浮かべた。
「だからこそ燃えるんだろ!」
合図と同時に、影の傭兵たちが一斉に襲いかかってきた。
音もなく走り、刃が四方から迫る。
「――ッ!」
カイは拳を振るい、紅と蒼の光で迎撃する。
「混血顕現!」
巨人の力で一人を弾き飛ばし、鳥人の翼で空中を舞いながら別の刺客を打ち落とす。
「やるじゃねぇか!」
ライオネルが背中を合わせ、大剣を振り抜く。
「――《獅子咆哮斬》ッ!」
轟音が広間を揺らし、数人の傭兵が吹き飛ぶ。
「後衛は私に任せて」
フィオナが杖を掲げる。
「――《万象律詠》!」
六属性の魔法陣が円環状に展開し、炎・氷・雷・風・土・光が一斉に放たれる。
虹色の閃光が敵陣を薙ぎ払い、傭兵たちが悲鳴を上げた。
「おお……すげぇ……」
セレナは目を見張りながらも竪琴を奏でる。
「――《蒼潮交響詠》!」
仲間たちの身体に力が宿り、疲労が和らいでいく。
だが敵は怯まなかった。
先頭の片目の男が冷笑し、短剣を振り抜く。
「《影走り》――」
影から影へと跳び、目の前に現れる。
その一撃がカイを狙った瞬間――。
「弟を甘く見るなッ!」
ライオネルが割って入り、大剣で短剣を弾き飛ばした。
「……弟って呼ぶな!」
「照れるなよ!」
背中合わせに笑い合う二人に、影の傭兵団は一瞬たじろいだ。
「行くぞ、みんな!」
カイが拳を構える。
「ここを突破して、奴隷商ギルドの心臓を叩くんだ!」




