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第118話 地下潜入開始

夜。

 砂漠都市バルカンの裏路地。

 岩壁の影に隠された小さな扉の前で、一行は息を殺していた。


「見張りは……二人だけか」

 ライオネルが低く呟く。

「任せろ。俺が前に立つ!」


「ちょっと、無茶はしないでよ」

 フィオナの冷たい声に、ライオネルはニッと笑った。


 次の瞬間、彼は砂を蹴り、一閃の大剣を放つ。

「――《獅子咆哮斬ライオンズロア》ッ!」


 獅子の咆哮のような衝撃波が走り、見張り二人は声を上げる間もなく気絶した。


「……派手すぎる」

 フィオナが額に手を当てるが、扉は無防備に開かれていた。


 内部は、湿った冷気と鉄錆の匂いに満ちていた。

 階段を下りると、そこには暗闇と松明に照らされた石造りの通路が延々と続いている。


「迷宮みたいだな」

 カイが呟く。


「迷宮じゃなく、輸送路だ」

 オルドが低く唸る。

「見ろ、この轍の跡。荷車が頻繁に通ってる証拠だ」


 壁には鉄の輪や鎖が取り付けられ、かつて繋がれていた奴隷たちの痕跡が残っていた。


「……ここを通って、仲間たちが運ばれていったのね」

 セレナが小さく呟き、竪琴を胸に抱きしめる。


 ライオネルは拳を握りしめ、怒りを抑えきれずにいた。

「これほどの道を作る労力があれば……どれだけの獣人が犠牲になったか……!」


「その怒りを忘れないことね」

 フィオナが冷静に告げる。

「でも、今は冷静さも必要よ」


 ライオネルは深く息を吐き、頷いた。

「分かってる。だが……必ずここをぶっ潰す」


 一行は松明の明かりを頼りに、さらに奥へと進んでいく。

 分岐は迷宮のように入り組み、時折、鎧を着た兵士たちの足音が響く。


 カイは仲間たちを振り返り、低く声をかけた。

「ここから先は、本丸に近づく一歩だ。気を抜くな」


 仲間たちが頷き、武器を構える。

 紅と蒼の瞳が闇に灯り、地下交易路の奥を睨んだ。

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