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第114話 砂の裂け目

 砂漠の真ん中を走る巨大な断層――「砂の裂け目」。

 幅は数十メートル、底は暗く見えないほど深く、吹き込む熱風が耳を唸らせる。

 一行は岩の橋を渡ろうとしていた。


「……不気味だな」

 カイがつぶやくと、ライオネルは鼻を鳴らす。

「この場所は奴隷商どもの“待ち伏せ”に使われやすい。気を抜くなよ、弟!」

「だから弟じゃねぇって!」


 だがその言葉の直後――。


 ヒュンッ! 無数の矢が岩壁の陰から飛来した。


「構えろ!」

 ライオネルが叫び、大剣を振るって矢を弾き落とす。


 岩壁から姿を現したのは、砂漠衣装に身を包んだ傭兵たち。

 奴隷商ギルドに雇われた彼らは、十数人の集団で一斉に迫ってきた。


「ここで異邦人は砂の肥やしになってもらう!」

「奴隷解放者だと? 商売の邪魔をさせるか!」


 斥候たちが慌てて隊列を組む。

 カイたちも即座に戦闘態勢に入った。


「俺が前に立つ! 任せろ!」

 ライオネルが咆哮し、大剣を振り抜く。

「――《獅子咆哮斬ライオンズロア》ッ!」


 砂漠全体を震わせる衝撃波が走り、敵の槍兵をまとめて吹き飛ばした。


「な、なんだこの力……!」

 傭兵たちは動揺し、足をすくませる。


「後衛は私に任せて」

 フィオナが杖を掲げ、詠唱を紡ぐ。

「――《森羅裁断ジャッジメントリーフ》!」


 光の葉が乱舞し、崖上から矢を放つ弓兵たちを次々と切り裂いた。


「いい連携だな!」

 オルドが豪快に笑い、戦鎚を振り上げる。

「おらぁッ! ――《隕鉄流星メテオ・スラム》!」


 崖ごと叩き割り、敵兵が雪崩のように崩れ落ちた。


 その隙にセレナが竪琴を奏で、優しくも力強い旋律を響かせる。

「――《蒼潮交響詠アクア・シンフォニア》!」


 仲間たちの身体を光が包み、疲労が霧散していく。


「助かる!」

 カイは翼を広げ、拳に紅と蒼の光を宿す。

「――《混血顕現クロスブリード》!」


 彼の拳が閃光となり、残った傭兵を一撃で沈めた。


 戦闘は短時間で終わった。

 砂塵が晴れ、倒れ伏す傭兵たちを見下ろすライオネルは、満足げに笑った。


「よし……上出来だ。やっぱりお前ら、ただの旅人じゃねぇな」

「試すような真似はやめろよな」

 カイが肩をすくめると、ライオネルは豪快に笑った。

「弟、強くなれ。お前の背中を守るのはこの兄貴分だ!」

「だから弟じゃねぇって!」


 砂漠に笑い声が響き、一行は再び歩き始めた。

 その背後で、敗れた傭兵たちが怯えた声で呟く。


「……奴隷商ギルドに報せねば……“解放者”が来たと……」

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