第113話 砂漠の案内人
砂漠の太陽が容赦なく照りつける中、一行は新たな仲間を加えて歩みを進めていた。
黄金のたてがみを風に揺らし、堂々と先頭を歩くのは――砂の獅子、ライオネル・グラン。
「砂漠の道は俺に任せろ! どの砂丘が危険で、どの岩陰に水脈があるか、全部頭に入ってる!」
胸を張るライオネルに、カイは思わず吹き出した。
「ほんとに兄貴みたいだな……」
「当たり前だろ、弟よ! 背中は俺が守ってやる!」
「誰が弟だ!」
即座に否定するカイの声に、オルドはゲラゲラ笑った。
道中、ライオネルは休憩のたびに仲間に気を配った。
「セレナ、水分補給はこまめにな。喉が乾いたと感じた時にはもう遅いんだ」
「は、はい! ……うぅ、歩き慣れない足が砂に取られて……」
「ほら、肩貸すぞ!」
「わ、わたし大丈夫ですって!」
そんな様子を見て、フィオナが淡々と呟く。
「……過保護すぎて逆に負担になっている気がするけれど」
「おいおいフィオナ、弟妹の面倒を見るのが兄貴の役目ってもんだ!」
「私はあなたの妹になった覚えはないのだけれど」
「ははっ、ツンデレか! いいねぇ!」
「ツンデレではない」
二人のやり取りに、カイとセレナは苦笑するしかなかった。
夜、星が砂漠を照らす中での野営。
ライオネルとオルドは大きな皮袋を片手に盛り上がっていた。
「うおお、この砂漠酒、喉にくるな!」
「効くだろう! だがまだまだ俺の酒には及ばん!」
二人はすっかり飲み友達となり、星空に向かって延々と勝負を続けていた。
その横で、カイは呆れつつも微笑んだ。
「……なんか急に賑やかになったな」
セレナは笑みを浮かべながら頷いた。
「でも、悪くないですね。砂漠は厳しいけど……みんなとなら、きっと越えられます」
翌朝。
ライオネルは誰よりも早く起き、斥候たちと情報を交換していた。
「バルカンまではあと二日の行程だ。だが途中に“砂の裂け目”がある。あそこは奴隷商の傭兵が潜んでいることが多い。気を引き締めろよ!」
その声に、カイは拳を握りしめた。
「分かった。……次は、奴隷商どもを叩く番だな」




