第10話 決死の連携
ひとまず10話まで一気に投稿です。
明日から平日は2話づつ投稿の予定です。
金曜日と土曜日は、投稿多めにしたい(願望)
紅蓮の鎖が渦を巻き、火柱となって天井を突き破る。
灼熱の奔流が迫る中、タルフ侯は勝利を確信していた。
「燃え尽きろォ! 奴隷は灰となり、価値を残すのだァッ!」
炎の檻が牙を剥いた瞬間、アリシアの声が響いた。
「カイ――聞いて! あなたの力を、私の呪いと重ねて!」
鎖に絡め取られながらも、アリシアは短剣を掲げる。
赤黒い呪印が全身を駆け巡り、刃を血煙で覆った。
「――《血契呪剣》ッ!」
轟音と共に、赤黒い斬撃が炎の奔流を切り裂こうとする。
だが押し返すには足りない。火柱はなおも迫り、地を揺らす。
「オレが……オレが行くッ!」
カイの胸の魔法陣が脈動し、全身が赤と蒼の光に包まれた。
翼の幻影が背に広がり、幼い瞳に決意が宿る。
「――《暴走解放》!!」
小さな拳が、アリシアの斬撃と交わる。
暴走の力と血の呪剣が重なり合い、紅と蒼、そして黒の閃光が奔った。
炎の奔流と正面から激突――。
轟音が地下を揺らし、熱波が四方へ爆ぜた。
炎の柱が裂け、鎖が軋む音を立てながら崩れ落ちる。
「な、何だと……!」
侯爵の目が驚愕に見開かれる。
粉塵の中から現れたのは、肩を並べる二つの影。
血に濡れたアリシアと、瞳を紅と蒼に輝かせた少年カイ。
「……二人でなら、越えられる」
アリシアが微笑む。
「オレたちは、負けないッ!」
カイが叫ぶ。
――決死の連携が、絶望を切り裂いた瞬間だった。
10話まで見ていただきありがとうございました。
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よければ前作もお願いします。完結済みです。
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