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過去の影  作者: Kara:3
9/11

Pt.9 戻ったエリオットは仲間達と楽しい時を過ごしていた。が、ジョンを見つけたいという気持ちは高まってゆく。

キャンプ場に戻ることに成功を収めたエリオット。一つのトラブルを解決したからって物語は止まらない。これからも進んでゆく!そして、我々も進んでゆく。特に書く自分が:3

何も見えなくて危ないから、気をつけないとな……。そう思ったものの、数秒後に右肩を機械のような物にぶつけてしまった。「イタ」 マシューは肩を抑えると1人で苦笑いをした。

次の朝、エリオットは外から入ってくる太陽の日差しに顔を照らされて起きた。とても眩しいなぁ…

エリオットは目を擦って、サイドテーブルに置いてある古びた時計を見た。時間は8時を過ぎようとしている。

横を見るとクリスのベッドはもう綺麗に整頓されており、空っぽであった。エリオットはゆっくりと起き上がった。クリスはもう起きたみたいだ。ベッドから立ち上がると、床が微かに軋んだ。

エリオットは着替えると、窓の外に目をやった。キャンプ場を囲む木々。一度も止まらずに地を焼き続ける太陽。青い空。全てがいつも通りに見えた。

おかしいくらいだ…。まるで昨日は何事も起きなかったかのように。

正直言って信じられないことだけど…起きたことなんだ……。

その証拠に、今もズキズキ痛むエリオットの手がある。手に巻いた血が少し滲んだ包帯がある。それは消えない。今のところは……。

森の中にエリオットが見た何かが居るってことなの……?

エリオットは静かに部屋のドアを開けて廊下に出た。外からの光に照らされた木の床には窓と青い空が映っている。他の部屋のドアは開けっぱなしで部屋は空っぽだ。みんなは起きたのだろうか。

エリオットは階段の音を気にする事なく降りた。

1階からは何らかの音が聞こえる。クリスとケビンは何かで言い争っているようだ。どうしたのかな?

「それは危なくてダメだよ、ケビン!」何故かクリスの声が震えているように聞こえる。

「別に最後の日くらい、いいだろ?」ケビンはイライラしているみたいだ。

「誰かが怪我をするかもしれないんだぞ!?」クリスは青い顔で言い返した。

「たっく、うるせえなあ!」ケビンは苛立ったようにクリスを乱暴に押すと、ドアをバタンと開けて外へ出て行った。ケビンがクリスに乱暴な事をした…。

エリオットは一瞬とても怒ったような顔をしてから、クリスの方にゆっくりと近づいた。

「大丈夫?どうしたの?」エリオットが尋ねるとクリスは困ったような顔をした。言おうか悩んでいるようだ。

「別に嫌だったら話さなくても…」「いや…大丈夫だよ、エリオット」クリスは微笑むと、全てを話してくれた。「ケビンがな、みんなで最後の日に近くの廃工場に行こうって言い出したんだ…危ないだろ?…誰かが怪我をしたらどうするんだろうか……」「うん………」エリオットは少し黙ってから、ポツリと口を開いた。

「実はね……」

廃工場……それはもともと鉄製の部品を作るための工場であった。例えば車のために使うシャシー部品などだ。俺はそこまで詳しくはないけど、少しだけなら分かる。

実はエリオットの父親もそこで働いていた。工場が建った時には多くの人が職を求めて、この町に越してきたものだ。活気のある時代だったと思う。

けれど、エリオットが2歳であった頃、工場は建ってから20年くらいで潰れてしまった。

父親は町外れにあるどこかの会社の倉庫で警備員として働くことになり、母親は2時間もかけて行かないといけない隣町の小さな会社で働く事になった。

お金がなく、家もないエリオットの家族はトレーラーで暮らす事になってしまった。小さなエリオットは家の近くにあった無料の保育園に通っていた。

しかし、それもエリオットが4歳の時、どっかの会社によって潰されてしまった。しかもそいつの事業は結局失敗し、廃墟が一つ増えただけであった。

保育所があった所では今でも、あの薄気味悪い廃墟が建っているのだろうか?見てないから分からない。今はどうでもいい。そして、エリオットは仕方なくトレーラーの前にある木にかけてもらったブランコで遊んで両親の帰りを待つ日々を過ごしていた。お金の問題で有料の保育園には行けなかったからだ。

それがなんと2年間も続き、ジョンに会えたという事だ。

「本当かよ、知らなかったな」クリスが驚いた顔で言った。「じゃあなぜ潰れたんだい?」

聞かれると思ったな。エリオットは苦笑いをすると、話し続けた。

「その工場には2つの建物があるんだ、あったと言う方が正しいかな、工場のレーンがあった建物と、倉庫なんだ」クリスが遮った。「それは潰れた理由にはなってないけど…?」エリオットはため息をついた。

「まだ説明してるだけだよ」今度はクリスが苦笑いをした。「ごめんごめん」

エリオットは真剣な顔になった。「とにかく倉庫が燃えたんだ。なぜ起きたかは今でも謎だけど炎はとても熱くて、部品が溶けたり、ダメになったりしたんだ…俺のお父さんはレーンの方で仕事をしていたから、大丈夫だったよ」クリスの顔に不安が浮かび上がった。

「それで…?」

「倉庫に居た人の半分以上は大怪我をしたり、亡くなったりしたんだ……それで、工場の持ち主の会社は売るもんがダメになって金は入って来ないし、被害者たちの医療費とかを払わなくちゃいけないとかで潰れたんだって」

「それは怖いね。ケビンはそこに夜に3日後の夜にそこに行こうって言ってるんだよ?」

「それはやばい…」実はエリオットはそんなことより、クリスのことが心配だった。反抗をし続けるクリスにケビンやジェイコブが手を上げないといいけど……。

その時は何があっても俺が止めてやる。絶対に。

今日は何をするかがまだ決まっていなかったので、みんなはやる事がなくてトランプを遊んで時間を潰していた。

(ケビンが何度もエリオットのトランプを見てきてとても嫌だった)結局勝ったのはエミリーだけど。

彼女はトランプですごい才能を発揮した。

今もエリオットはエミリーのトランプの束から一つだけを選んでいる。

こういう時に限ってエミリーはポッカーフェイスになる。どのトランプに手を伸ばそうが、表情が一つも変わらない。エリオットは左から3番目のトランプを選んで抜いた。

……ジョーカーだ。エリオットはできるだけ今の気持ちを表情に出さないように、ケビンの前でトランプの束をケビンが覗けない角度で広げた。

ケビンは少し考えた後に一番右にあるジョーカーを抜いた。エリオットは心の中で歓声を上げた。

……試合は数分後に終わった。負けたのはマイクで、勝ったのはエミリーだ。楽しい時間を過ごした。

しかし、みんなはトランプにはすぐに飽きてしまった。きっとエミリーがずっと勝ち続けたからだろう。

だからガビが、今日のアクティビティを提案した。

「今日はブルードットに行こうよ!この町で一番有名な所なのに一回も言ってないのよ!?」

酷く暑かったのでみんなは反論などせずに喜んですぐに準備をし出した。エリオットは部屋に戻ると、一番必要そうな物を準備した。タオルと水着だ。あとは…忘れるところだった!そうそう!日焼け止めもかな。

エミリーなんかは日焼け止めを3つも持って行った。どうしてそんなに必要なのかを聞くと、彼女も首を傾げた。準備を済ませたみんなは車に乗り込んだ。ケビンが車のラジオをつける。

「次はウォータータイムの時間です!」ラジオから陽気なアナウンサーの声が聞こえてくる。「何と今日のウォーターヒルの気温は32度を超えます!!…待ってください!誰かから電話が届きました」

一瞬静まり帰ってから、陽気なアナウンサーの声が再び聞こえてきた。

「こんにちは!ミス・ブラウンという方からお電話を頂きました!今、ラジオを聞いている人に伝えたいことはあります?」……「はい、若者に伝えたいことがあります。私の芝生にポイ捨てをしないでください!!」

マイクは吹き出した。ラジオの人の声もどこか面白そうだ。「えーと、あ!はい!ありがとうございました!!ミス・ブラウン!」マイクの顔はニコニコに笑っている。

ケビンは「おもんねぇ」と言ってラジオを消した。

そして、車を出した。

通り過ぎた森の中の草はほとんどが枯れていて、町の中もそうであった。外に出れば焼け死ぬような気がする。それが事実であるから、かもしれない。

だから、湖に泳ぎに行く事は大正解だ。ウォーターヒルの住民の多くもそう思ったらしいけど。

ブルードットはとても混雑していた。しかも、ここに来てから一度も見かけなかった子供たちまでいた。

親にぴったり張り付いて、ブルードットに泳ぎに来ていたのだ。

水面は美しく輝いていて、周りの木々が映っていた。

エリオットはその様子を見つめながら、ふっと思った。ジョンと遊んだあの湖なら誰も居ないんだろうな……。

あの湖からあまり離れていないところに廃工場があるから誰もあそこに近寄らないんだ。

エリオットは(少し危ないような)あることを思いついた。もしかしたら……ジョンについての情報を得られるかもしれないし……なんか…思い出に浸かりたかった。

そうだ!今からそこに行こう。確かに歩きで時間がかかって大変かもしれない。でも、何故か行きたかった。あの思い出の場所に……。

エリオットはクリスだけにこっそりどこに行くかを教えて、湖に向かった。

みんなに言ってしまったらケビン達も付いて来てしまうと思ったからだ。あそこにケビン達だけには来てほしくなかった。あそこはエリオットとジョンだけの秘密の場所だ……。

もし、連れて行くとしたらクリスとかかな…ガビとマイクもいいかも。でも、ここまでの道のりは結構大変だし、彼らには残ってもらうことにした。

湖までの道のりはとても生い茂っていて通るのが難しかった。

何度も蜘蛛の巣にも引っかかって、少しだけイライラした。

髪の毛の中から蜘蛛の巣を探すのは決して楽しい作業とは言えない。

最初は迷うことを物凄く心配したけど、草が折れていたり、道が踏み固められていたりして、人が最近ここを通ったようだった。それについて行ったら湖に着くのだろう。自信はないけど。

これは行方不明になる前のジョンの通った跡だったりして……。いや、そんなことあり得るのか?ジョンは数ヶ月前に行方不明になったんだ。あり得ないね。そうだよね……。

木の影に隠されていないところは非常に蒸し暑かったし、草に何回か引っ掻かれてたりした。

しかし、決して諦めなかった。もう決めたことなんだ。諦めてはいけない。着いた時には汗だくで、ヘトヘトだった。

だけど、あの湖を見た時、何故か心が軽くなったような気がした。


〜キャラについての情報〜★今回はジェイコブ

特徴は肩まである茶髪のグレー色の男の子です。

性格は一言で言い表すと、悪いです。エリオットはジェイコブの家庭環境が悪から、と推測しています。

ジェイコブはケビンとの小さ頃からの大親友です。今も見ての通り、とても仲良くしています。

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