表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過去の影  作者: Kara:3
8/11

Pt.8 エリオットはキャンプ場に森を通って帰っていた。しかし、そこでトラブルに巻き込まれる。

パート8!警察署では何も得られなかったが、エリオットは諦めない。彼はこの物語のように前に進んでゆく。

そして、最初のヒントを見つける時が近づいている。

木々の間は真っ暗で今すぐにでも何かが飛び出してきそうだ。エリオットの手は恐怖で微かに震えていた。

左右にある真っ暗な森を見なければ、そこまで怖くないと思った。

けれど、進めば進むほど、エリオットの中の恐怖はじわじわと膨らんでいった。

森の中からコミックに出てくるモンスターが飛び出すかもしれない!もちろん、バカバカしいって事は自分でも分かる…でも、怖い時は非現実的とかどうでもいいんだ…おかしいよね?

エリオットは月明かりに照らされて青白く輝くアスファルトをぼうっと見つめていた。

必死に森の方を見ないように……とにかく、森を見ないように。

すると、森の中から茂みのカサッという音がした。エリオットは遠慮がちに音がした方へと振り返った。

見えない何かが聞こえる時は嫌な目にしかあわないんだよね……。

暗過ぎて何も見えない……エリオットは目を凝らした。すると、全てが飛び上がった。

自転車もエリオットも周りの世界も。誰かがリモコンでいじっているかのようにスローモーションで。

前を見ていなかったせいで、自転車のタイヤが結構大きな気に枝に引っかかって、エリオットは前に投げ飛ばされてしまったのだ。音も聞こえない。影も動かない。

ただ、自分がゆっくりと前に落ちてゆく。そして、エリオットと自転車が地面に着地をした時に時は動き出した。「ガッシャーン」自転車が落ちる音が暗闇に響く。

また、手の平で着地をしたらしく、鋭い痛みが走った「痛!」。コンクリートの匂いが鼻をつく。

エリオットは迷うことなく、すぐにさっきの音のした方へもう1度振り返って誰もいない事を確かめると、震える手の平を月明かりに照らしてみた。一瞬気持ち悪くなった。

右手の方はまだそこまで酷くなかったものの、左手には結構深そうな切り傷があった。

傷がどんなに酷いかを見ればもっと痛くなるって何でだろう?いや、こんなことを考えている暇なんてない。

何とか立ち上がって自転車を持ち上げると、後ろから足音がした…。

エリオットの顔は恐怖で真っ青になり、手と足は激しく震え始めた。

あれは確かに人の足音だ…だんだん近づいて来る!早くしないと!エリオットはすぐに自転車に飛び乗り、出来るだけ早く全力でペダルを漕ぎ始めた。誰がそこにいるのかを見るために振り返った。もちろん、もう一回落ちるのはごめんだったが、どうしても気になった。……確かに人の影のようなものが見えた。

そして、ただひたすら自転車を漕ぎ続けた。キャンプ場に着くまで。

たどり着いた時、一番奥の方にある家の窓灯りを見てエリオットはやっと安心して息をする事が出来た。

窓から漏れる暖かい黄色の灯りはエリオットの心を温める。外からは中にいるクリス達の姿がよく見えた。

テーブルに集まって、何かについて話し込んでいるようだ。

ゆっくりと玄関のドアを「ギイィ」と開けると、夕食のテーブルについていたみんなは一斉にエリオットの方を見つめた。なんか気まずい。

最初に口を開いたのはガビであった。「エリオット!何でこんなに遅かったの!とても心配をしたのよ!」「お、俺、ただ…」「黙って!ああ!みんながどれくらい心配をしたのか!(ケビンとジェイコブはそうではなさそうだったけど)とりあえず、戻ってきて安心したわ…無事でよかった…」

次に口を開いたのはクリスだった。「俺ら、今から君を探しに行こうってしてたところだよ」「ごめん…迷惑をかけちゃって…」「そんなことより…その手…どうしたんだい…?」マイクがエリオットの手を指差しながら聞いた。「い、いや…べつに…何も…」エリオットは手を後ろに隠そうとした。

けれど、クリスが手を掴む方が先であった。クリスはエリオットの手の平を見ると「なんて酷い傷……ガビ!救急キットを持ってきてくれない?俺の部屋にある」と落ち着いた声で言った。

「分かったわよ!」とガビはすぐに2階へと向かった。ガビが救急キットを取りに行っている間、エリオットはクリスと一緒に傷を洗いに行った。

マイクは「殺人鬼から逃げてきたのかい?」と面白くないジョークを言ってバスルームからクリスによって追い出された。傷を洗う間も、応急処置をしている間も、クリスは何も聞いてこなかった。

エリオットはその方が安心した…。みんなを怖がらせたくなかったのもある。

応急処置が終わると左手には包帯が巻かれ、右手は傷板が沢山貼ってあった。俺は今日怪我してばかりだな。

今日は本当についてない。手は動かすだけですぐに痛みだす。

マイクは「君がその傷から感染してゾンビにならないといいけど!」と面白くないジョークをまたもや言って今度はガビに怖い顔で睨まれた。きっとエリオットを元気付けようとしていたのかもしれないが、逆効果だ。

ガビはマイクを睨むのをやめると、ソーセージを夕食として焼いてくれた。本当に料理が上手いな。

しかも、またガビの料理を食べられるなんて!!エリオットが不安を忘れかけて幸せな気分で食べている間、クリスはエリオットを安心させるかのようにずっと隣に座ってくれた。

エリオットが食べ終えると、クリスはやっと口を開いた。

「…それで、どうしたんだい?無理をしないで少しずつ話してもいいよ。今日じゃなくても明日でも」とても不安げな顔だ。「自転車に乗ってたんだ…暗かったから…木の枝に気が付かなかっただけ…」

エリオットはうつむきながら答えた。クリスはまだ納得のいかない顔でエリオットを見た。

「…今君が着ている服は出かけた時と違っている……どうしたの?」エリオットは笑ったつもりだったが、唇は震えていた。「あー…これね…えーと、前の服は汚れちゃって…友人から借りたんだ…」……「とにかく、寝にいきな。いいね?」とクリスは言った。「うん…」エリオットは静かに頷いた。


2階に上がるとそこは真っ暗であった。木の床に外から来る光が微かに反射するだけ。エリオットは何故かキャンプ場の入り口が見える窓の方に寄ると、ゆっくり外を見た。

誰もいないよね?そうだよね?外は真っ暗だ。何も見えない。だからって誰もいないとは限らない……とにかくこう考えるのはやめよう。そう、やめるんだ!今すぐに!!

エリオットは深呼吸をすると廊下の奥にある自分の部屋に入った。部屋の中は廊下以上に真っ暗だ。

エリオットは手探りで「カチッ」とサイドライトをつけた。そこには朝の時以上に綺麗な部屋があった。ゴミ箱だって空っぽだ。きっとクリスが綺麗にしたに違いない。

エリオットはベッドに横たわったが、長い間寝付く事が出来なかった。

ずっと天井を見つめていた。天井を見れば見るほど顔が見えてきた。不気味な顔だ。俺から目を離すこなく、ずっと見つめてくる顔……。

実を言うと、今日の事を忘れるために誰かと喋りたいと心から願った。が、クリスがエリオットの怪我についてガビと1階で喋っていて部屋では1人だったし、森の中で起きた事については誰にも言いたくない気持ちもある……。目を閉じるたびにあの時が蘇る。何度も、何度も。

結局眠れなかったから、サイドライトでハンドブックを照らして、何度も読み返した。

何かがあるはずだ…絶対に…無いなんて有り得ない…またページを最初に戻して、読み返し始める…18、16、この町では何が起きているんだ?……、28、犯人は誰なのか…23、エリオットは慎重にページをめくった。32、17…21…………!?エリオットは飛び起きた。

やっと見つけた!行方不明者の共通点を!手が微かに震え、心臓がドキドキする。

……もう一度確かめた。そうだ、彼らは全員、16歳以上だ。

16歳以下の行方不明者は1人も出ていない。エリオットの顔が曇った。確か…ジョンはもう…今年で22だったっけ……。さっきまでの興奮は心の奥底に沈んでいった。

エリオットはまた横になって考え始めた。じゃあ、一体誰がどんな理由で“16歳以上の人”しか狙わないのだろうか………?彼らは年齢以外の理由で何故、狙われるのだろうか...... 警官?……マ……そうこう考えているうちにエリオットのまぶたは重くなり、意識は夢の世界に飛んでいった。彼はやっと眠りにつくことができた。

目を開けると暗い森の中に立っていた。弱い雨が降っていて、湿った森の匂いがする。

しかし、不思議なことにエリオット自身は一つも濡れていない。「お、俺は…どこにいるの?」エリオットは無意識に呟いた。誰も答えてくれるはずがないのに。「見ての通り、森の中におるよ」横から少し低い声がしてエリオットは飛び上がって、すぐにそっちに向いた。

さっきまではいなかったはずなのにエリオットより背が高い青年が立っていた。

しかも、顔がエリオットにとても似ている。寝ぼけていたら、鏡と間違えるのかもしれない。

エリオットとは違って体ががっしりしているけど、確かにとても似ている。彼は青い服を着ていて、胸の所には警察官のバッジがつけてある。警察官なのか?「だ、誰?」エリオットはゆっくりと一歩後ろに下がりながら聞いた。

「お、俺…君の事、どこかで見たような…でも、思い出せない」青年は優しく微笑むと「俺の名前はマシューだよ、きっとポスターで見たんだ」と言った。エリオットは少し困惑した。そうだっけ…?

思い出せない…でも、ここは現実じゃない……はず……ただの夢……。

「俺と君はどうしてここにいるの?」エリオットが静かに聞いた。

「それはいい質問だね」マシューは苦笑いをしながら答えた。「俺は君に託したいものがるんだ」

「どういうこと?」マシューは悲しそうにうつむいた。

「俺はもう長くないんだよ……だから、君が真実を知るんだよ……ね?」エリオットが口を開きかけたが、マシューはエリオットを遮った。

「とにかく気をつけるんだ」「え?」マシューがエリオットの肩に手を置いた。

おかしい…一つも手の重みを感じない。「いいね?約束だぞ?」何のことだろうか…?町で起きている事についてなのか?

マシューがエリオットを見つめ続ける………エリオットは困惑しながらも答えた「わ、分かった……」

マシューは満足をしたような顔になってエリオットの肩から手を下ろした。「ま、マシュー...?」

雨が一瞬強くなったかと思うと、マシューはその中に溶けるように消えた。

エリオットは森の中に1人で残されてしまった。


クリスが部屋に戻る頃にはエリオットはとっくに眠っていた。

クリスはすぐには寝ず、本を読んでから寝る事にした。

今日はケビンたちとの(ひどくつまらなかった)森の探検に付き合わされ全然読む時間がなかった。

本の題名は「医療技術、今昔」といったものだ。普通の人には面白くなさそうに見えるこの本はクリスにとってはとても非常に面白かった。お父さんの本棚で見つけた宝物だ。特に医者になりたいクリスにとっては。

クリスは夢中になり過ぎていつの間にか声に出して読んでいた。

おお、これはなかなか面白い!「近代では精神的疾患の医療法が大いに増え……」

「やだ!」と眠っているはずのエリオットが急に叫んだのでクリスは飛び上がって、本を取り落としそうになった。

エリオットの方を見た。エリオットは寝ているけど、うなされているみたいだ。

クリスは読んでいたページに(新聞で作った)しおりを挟むと、本をサイドテーブルに置いた。きっと、エリオットはものすごく怖い夢なんだろうな…こんなに青い顔をして…今日も嫌な目に遭ったしな……。

エリオットはいつも何故か何かに巻き込まれるからな…そして、いつも言い訳をする……でも…エリオットがする言い訳のどこまでが真実なのだろうか……?

沢山のことを抑え込んでいるんじゃないのかな……無理をしすぎなんじゃ無いかな。

クリスは心配だった……エリオットのことがとても心配だった………。


暗い地下?みたいな所にいるマシューは階段に背を向けると、「ボイラー室」へのドアを開けた。

「ギィィィィ」という悲鳴のような音が鳴る。

ドアの取っ手は錆びていたらしく、手には錆びのようなものがついてしまった。ボイラー室の中は廊下よりも何十倍も暗かった。

まるで中にこっちを見つめてくる化け物がいるかのような気分だ……。俺は何というバカなことを考えているのだろうか?化け物?そんなのがいるはずがない。……でも、見たことがないだけかもしれない?…本当に馬鹿馬鹿しい!マシューはゴックと唾を飲み込んで手を伸ばして中に足を踏み入れた。

中はひんやりとしていて、錆臭い空気が立ちこめていた。何も見えなくて危ないから、気をつけないとな……。そう思ったものの、数秒後に右肩を機械のような物にぶつけてしまった。「イタ」 マシューは肩を抑えると1人で苦笑いをした。



〜キャラについての情報〜★今回はマイク

物語の中でマイクについての情報はあまり出ません。だから、ここで知ることが可!!

なんかマイク存在感が他のキャラと違って薄いんですよね。(自分だけがそう感じているのか?)

特徴は黒上の水色の目の男の子です。彼は食べるのが好きで、自分の健康をとっても重視しています。

彼は空気を読むのが(とても)得意ではありませんが、仲間が困っているのを気付ける良いやつです。

名前は彼の親が宗教を大事にする人であるからマイクになりました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ