Pt.5 エリオットはジョンを見つけたいという一心から動き出す。
もうパート5!?しかも、物語は始まったばかり!?これは長くなりそうですね=0
エリオットはジョンのために捜査を始める!上手くいかなくても、彼は立ち止まらない!
全ては大切な人にために!ジョンのために!
振り向くと、電柱や掲示板にはびっしりと色あせたポスターが貼られていた。「ええ」…老婆は優しくニッコリと笑った。「気をつけんんさいよ、お若いの」と言って彼女は自分の家の方へ戻って行った。残されたエリオットはただその場に立っていた……。
エリオットは車までどうやって帰ったのか…どれくらいかけて帰ったのかを覚えていなかった。
ただ気づいたら車の隣に座っていて、ぼうっと地面を見つめていた…。アリが行列を作ってクッキーの欠片を運んでいる。
心の中ではどうしてもジョンが行方不明になっていたというショックからはまだ立ち直っていなかった。
俺はこれからどう過ごしてゆくのだろうか…?ジョンについての出来事はいつも俺にのしかかり続けるのだろうか……?でも一つだけ確信していることがあった。ジョンを見つけるために全力を出す事を。
みんなは少しずつ、バラバラと車の方に戻って行った。
一番最初にはクリスとマイクが買い物袋を抱えながら戻ってきた。クリスはエリオットを見ると、心配そうに尋ねてきた。「エリオット…どうしたんだい?そんな顔して…」エリオットはクリスの顔を見ると、ニッコリと笑って答えた。「沢山歩いたから、疲れたんだよ…」「……そう…暑いから、水分補給を忘れるんじゃないんだよ?」クリスはそう言うとエリオットに水の入ったペットボトルを手渡した。
エリオットはできるだけ自然な笑顔を作りながら、それを受け取った。クリスは驚いたような顔をした。
笑顔過ぎて不気味に見えたのかもしれない。マイクはエリオットの顔を面白そうに見ている。今にでも吹き出しそうな様子だ。
次に戻ってきたのはケビンとジェイコブで、最後に戻ってきたのはガビとエミリーであった。
エミリーは(抱えきれないほどの)沢山の化粧品を抱えていた…何故こんなに買ってきたのだろうか?そんな彼女を手伝ってそれを抱えていたガビは呆れている様子であった。
キャンプ場に戻るまでの道のりは楽しかった。
エミリーはみんなに自分で買ってきた化粧品を見せていた。「これは韓国からのリップよ!この紫色綺麗でしょ?」とエミリーが言いながらリップを見せてくる。
エリオットは「いいね」と答えながら、窓の外を見た。太陽は雲に隠れて見えないが、空や雲は美しい桃色と混ざった金色に輝いていた。街灯が発した光は歩道や道路を微かに照らしている。
車で街灯を通り過ぎるたびにエリオットは眩しさのあまりに目を閉じていた。
車のラジオから楽しいリズムの曲が流れ始めた。俺は聞いていないから何の曲かわからないけど、最近みんなが聞いているあの曲だ。あの流行りのやつ。
エリオットはまた窓の外を見た。自宅地の終わりに近づいている。
もう少しすれば、森の中に入る。そこには街灯の光がないんだ。真っ暗なんだ。この町の過去のように。
キャンプ場に戻ると朝食を作ったマイクを除いてのみんなが夕食を作る人を決めるためのジャンケンをした。
ジェイコブはマイクも入れるように言ったけど、ジャンケンに弱いマイクは猛反対した。
「ジャンケンポン!アイコだよ、もう一度!ジャンケンポン!」………無事、ケビンが負けた。
それが何に繋がるかはエリオットだけが分かっていた。ケビンは最近、俺に悪さをするのが生き甲斐のようなものだから。やることがないのだろうか?
思ったとおり、ケビンはみんなが離れるとエリオットの方に近づいて、言ってきた。「おおい!エリオット、おめえさあ、俺の代わりに夕飯作っとけよ?」エリオットは仕方なく頷いた。
また殴られるのは、ごめんだね。
キッチンへ行って、料理の準備をし始めようとすると、キッチンには水を飲んでいるクリスがいた。
彼はエリオットが料理をしようとしていることに気付いたようで、驚いて尋ねてきた「エリオット、何で君が夕食を作るんだい?ケビンが負けたんだよ?」エリオットはできるだけの(怖くない)笑顔で言い訳をした。
「えーと、ただ…俺…料理が好きで…料理をする役目を引き受けたんだ……それだけ…」
クリスは眉をひそめながら言った「へえ、おかしい奴だな君は。じゃあ、今日さあ、どこに行ったのかを教えてくれたら手伝うよ?」キッチンは沈黙に包まれた。
エリオットはクリスの瞳をじっと見つめた。心配そうな目つきだ……事実を言うべきなのかな…?…エリオットは息を深く吸い込んだ……。「…いいよ」
「…」「実は…兄…あ、いや…友達…の家に行ったんだ……」エリオットの顔が曇ってゆく。
「無理しなくてもいいよ」「いや、大丈夫…とにかく!彼は……行方不明に…なったんだ!!」
クリスは口をあんぐりと開けて固まった。「マジか……それは…それは災難だったね……見つかるといいね……!」「ありがとう…」リビングルームから早く料理をしてよ!というガビの声が聞こえた。クリスは苦笑いをした。「みんな、お腹が空いてるよ…早く料理をしようか」「…うん」とエリオットは頷いた。
エリオットはハンバーグを(少し焦げたけど)焼き、クリスはポテトを揚げた。
クリスも料理が上手いというわけではなく、油で指を火傷した。人は失敗から学ぶ。次は火傷をしないと思う。
夕食のポテトとハンバーグは間もなく出来上がった。
「わあ!これとても美味しい!!ありがとう!」とガビが料理を褒めてくれた。エリオットは照れくさそうにうつむいて、頬を掻いた。ほんの少しだけ、心が温かくなるのを感じた。
本当に美味しかった。ガビは幸せそうな顔をしている。何だか俺も嬉しい。
夕食の後、みんなは急いでシャワーに入ると寝に行った。ここに着いてから1日しか経っていないことだし、くたびれたのだ。エリオットも急いで寝に行った。
寝るつもりだったのに、その夜はクリスと話し込んだ。
彼とこんなに仲良くなるとは、夢にも思わなかった。クリスが小さい頃の話を始めた。
「なあ、俺さ、小さい頃パトカーに乗ってみたくて…地元の警察署の前で毎日立ってたんだよ」
エリオットは笑って「それ絶対怪しいやつだよ…!」と言った。
クリスも一緒に笑った「それである日、警官が俺の所に近づいて聞いてきたんだよ、君はここで何をしているのかって」「それで?」「事実を話したら、パトカーに乗せてくれたんだ!」クリスの顔が輝いた。
「それは、いいね」エリオットはクリスに微笑みかけるとベッドに横になった。
「俺は…小さい頃は君も知っている通り、この町で暮らしていたんだ…」エリオットは苦笑いをした。
「田舎だし、話すことはあまりないな」クリスは人生で一度のチャンスを逃したような残念そうな顔をした。
「そんなー!面白い話が聞けるって思ったのに!!」…「怖い話ならどう?」クリスの表情が呆れに変わった。
「田舎では怖い話しかないの?」エリオットがイタズラっぽく笑った。「ああ」「なら、それでいいよ」「このキャンプ場に続く道路があるじゃん?」「もちろん!なかったらここに来れないよ?」
「その道路を一番奥まで進むと、とうもろこし畑があるんだ」「おいおい、畑なんて怖くないよ?」「この話を聞くまでは…だよ?」「分かった」「実は…俺が小さかった時…あのとうもろこし畑で死体が見つかったんだ」
「え?とうもろこし畑からこんな展開になるの!?」「ああ、とうもろこし畑の持ち主がやったんだ」
「本当かよ?」「…あの人は頭がおかしかったと思う…だって……捕まった時にすぐに事実を話したんだ」
クリスはもう笑ってはいなかった。「人を肥料にしようとしていたんだ……」クリスの声が少し震えている。
「……本当かよ…?」エリオットは急にニヤけて笑い出した。
「…んな訳あるか!この町の人々の中にとうもろこしを育てる農家なんて1人もいないさ!本当にこんな話を信じるなんて!!」クリスも笑い出した。「マジかよ!!君の事は許さないぜ!」
「引っかかった奴が悪いんだ!半分寝ている俺が作ったこんな頭のおかしい話に!!ははは!」
2人は少しの間、一緒に笑っていた。せめてこの時だけでもエリオットはジョンについて悩まなくても済んだ。
後は…クリスがジョンを探すのを手伝うって言ってくれた。クリスって本当にいい奴だな…本当に……久しぶりにこんなに笑ったな…。
エリオットとクリスが静かに眠った後、ウォーターヒルの警察官達は全員、とても緊張していて、必死にパトロールをしていた。何と、新人の警察官マシューが行方不明になった。結構前の話だが。
マシューは数日前、初めての“単独パトロール”だった。「マシューです。車が故障をしてしまったので歩いて戻ります。もう一度言います。マシューです。車が故障をしてしまったので歩いて戻ります。」……その声を最後に、マシューからの通信は途絶えた。彼が戻ることは、なかった。
マシューの古いパトカーは夏の暑さとボコボコの道路に耐えられないで故障をしてしまい、他の警察官達は皆(マシューや署長も含めると全員で6人だ)パトロールに出ていた。
しかし、しょうがなかったのだ。人手不足だから……いや…それは言い訳でしかない。
署長はこれからも一生…マシューを1人でパトロールに行かせた事をとても悔やみ続けるのだろう……。
ウォーターヒルの警察の署長、ジョナサン・トンプソンは書類を整理しながら考えていた。
我らは工場の周囲もパトロールすべきなのか?でも、あそこには誰も行かない。しかも、あんな噂を持つ場所だ。
誰も工場の近くではパトロールをしたがらないのだろう……。
すると、警察署の入り口の方から怒鳴り声が聞こえてきた。「おおいぃ!誰もいないのか!!」
ジョナサンはすぐに1階に降りた。そこにはジェフが顔を真っ赤にして腕を組みながら立っていた。
「ジョナサン......!彼は見つからないのか……?!俺の息子…マシューは…?」ジェフの声は怒りで震えている。
落ち着かせなければ……ジョナサンはどうにかして声を絞り出した。「ジェフ……俺は…」
しかし、ジェフがジョナサンを遮って怒鳴ってきた「俺の息子は!?どうなる!!?」
「それは…おれらが…」ジェフはまたもやジョナサンを遮った。「黙れ!お前らは無能だ!!」
ジョナサンはうつむいた。「そうだよな……ごめんな……」ジェフの顔はもっと赤くなった。
「お前らは何もできやしない……!」ジェフはその場で泣き崩れてしまった。
ジョナサンは静かに呟くように言った「……………そうだよな」
次の朝、エリオットはパンケーキの香りで目が覚めた。隣のベッドではクリスがまだ眠っていた。
時計の針はまだ7時を指していたし、クリスがあまりにもぐっすりと眠っていたから起こさない事にした。
ゆっくりと1階に降りると(何故、慎重に降りる時の方が階段がギシギシうるさいのだろうか?)テーブルの上の皿に沢山のパンケーキが盛り付けてあった。
「おはよう!エリオット!」ガビがみんなのコップにオレンジジュースを注ぎながら言った。
エリオットは顔が少し赤くなるのを感じたので、できるだけ下を向いて「おはよう」って返した。
ガビはとても可愛い…。しかも!ガビが作ったパンケーキを食べられるなんて!?とても美味しそうだ。
俺は何て幸せなのだろうか!エリオットはメープルシロップをキッチンに取りに行った。
見つけるには結構な時間がかかった。何と、冷蔵庫の上に置いてあったからだ。棚の中にあると思ったのに。
急いでリビングルームに戻ると、パンケーキを自分の皿に盛り付けて、メイプルシロップをかけた。
何という素晴らしい香り!口の中に運ぶと、思った通りものすごく美味しかった。この味は一生忘れられないと思うな。
次に降りてきたのはクリスであった。クリスいわく、エリオットの階段を降りる音がうるさくて起きたとのことだ。
クリスは物凄く寝ぼけていて、メイプルシロップをコップに注ぐところでエリオットが無事にクリスを止めた。
「エリオット…なぜ止めるんだよ?ジュースを飲みたいだけだから、やめて」エリオットはメイプルシロップをクリスの顔に突きつけた。
クリスは納得したような顔をして「うむ…ごめん」と言った。その様子を見ていたガビは笑いこけていた。
ガビが落ち着くと、エリオットが彼女に聞いた「てか、他のみんなは?」ガビによるとマイクはもうジョギングに出かけたらしい。最後にジェイコブ、ケビンとエミリー(エミリーはメイクをしていたと思う)が降りた。
「おはよう!みんな!今日はパンケーキよ!」とガビは3人に元気に声をかけた。
今日は最高の朝だ。エリオットは心の奥底からそう思った。ジョンの事を思い出す前まではね。
朝食を食べた後、エリオットはまず警察署に行く事にした。
もしかしたら、ジョンについての情報を得ることが出来るかもしれないから。後は…ジョンを見つけたい。せめて、彼のために全力を注ぎたい。そのために、警察署にいく必要がある。
そうしたら、捜査?がもう少し楽になるのだろうしな。
エリオットは息を深く吸い込むと、ケビンに近づいた。ケビンに町に送ってもらうのをお願いする必要がある。
「お、おはよう、ケビン」ケビンはエリオットの方へ振り返った。
「何だ、お前?」イライラしているみたいな声だ。「あ、あの…俺、車に行きたいんだ」「それで?」ケビンは短く吐き捨てるように言ったが、その目はどこか眠そうだった。
「車を出してくれないかな…?」だが、ケビンは車を出すどころか、貸してさえくれなかった。
「遠くないから、自分で行け」らしい。エリオットは何も言わなかったものの酷く腹がたった。
でも、何となく分かる。仲良くもない奴に車なんて貸すわけないよね。仕方なく歩いて行くしかなかった。
クリスの事は最初から誘わなかった。迷惑になるだろうと思ったし、何より……巻き込みたくなかったからだ…。この夏だけで何人が行方不明になったのかな?俺はジョンのようにクリスのことも失いたくないだけ。それだけ。
エリオットは森の中をゆっくり進んで行った。眩しい太陽に照らされた木の葉はいつもより明るい緑色に見えた。アスファルトはボコボコで沢山の穴が空いていた。昨日よりも太陽がジリジリと焼きついててきて、蒸し暑い日であった。アスファルトもフライパンのように熱くなっているのだろう。
触れたら大火傷をするだろう。ゴムでできているシューズの底もアスファルトで溶けるのかもしれない!
だから、なるべく木の日陰に入って歩くようにしていた。 歩き続けて30分くらいが経った頃、道路の先に車が見えてきた。パトカーだ。
通り過ぎると思いきやエリオットの所に止まってしまった。俺は何か悪い事をしたのかな??
こういう時って悪い事をしていなくても何故か緊張するんだよね………。
パトカー(錆びた古いやつ)の中から警官が出てきた。髪の毛はブロンドで鼻は小さなジャガイモだ。ドーナツの食べ過ぎだろうか?少し小太りでもある。あ、待て…この町にはドーナツ屋はなかったっけ。きっと、ピザの食べ過ぎだ。
警官はエリオットを睨みつけると聞いてきた「君はここで何をしているんだい?」
エリオットは酷く緊張していた。「歩いています」俺は何を言っているんだ?「それは分かる、何のために?」警官がバカを見るような表情をした。
「町に行くために」警官は再び眉をひそめて、エリオットを見つめた。
「どこから町に?」「近くのキャンプ場から」警察官はとても驚いたような顔をした。
「あれがまだ働いていたとはね…廃墟になったと思っていたよ」「そうですね」警官は手に持っていたコーヒー(と思う)を少し飲むと、またエリオットを問い詰め始めた。「町には何のようだ?」「警察署に行きたいです」
「何かがあったのかい?」「行方不明になった友達の情報を得たいだけです……」エリオットが悲しそうに答えた。警官の表情が柔らかくなった。「そうか…それは悲しいことだ…俺の友達の警察官になったばかりの息子も行方不明になった…」「それは残念ですね…」
「ああ…とにかく、情報が見つかるといいな…でも、期待はするなよ?」「……はい、ありがとうございます」
「気をつけろよ?」警官はそう言い残すと、パトカーに乗って走り去って言った。
パトカーが見えなくなるとエリオットは町の方へ歩き始めた。
さっきの会話で町で起きていることがより現実的に感じられた。最初は悪夢ではないかと思っていたから。エリオットはひたすら歩き続けた。
目が自然と錆切った看板へ向く。そこはトレーラーキャンプへの入り口だ。エリオットが昔住んでいたところ。
エリオットは自分でも気づく間がなく看板がある方への道へと曲がった。少しくらい寄ってもいいよね?
〜キャラについての情報〜★今回はガビ!!
特徴は簡単に言うと、肩より少し長いブロンド髪の水色の目の女の子です。性格も簡単に言うと、優しい子であり、強い子でもあります。そのおかげで、学校での人気者!しかし、絶対に怒らせてはいけません!(生き残れないのかも) 年齢は16歳。エリオットと同じです。
みなさんは知っていましたか?「ガビ」とは「ガブリエラ」という名前を短縮したものです。本当は「ギャビー」になる予定でしたが(ギャビーが正しい)、読みやすくするためにも「ガビ」にしました。こっちの方が何百倍も書きやすいというのもあります。
ちなみに、この名前にしたネタとなったのは私の大好きなドラマからのお気に入りのキャラクターの名前です!
また、多くの人は覚えているかもしれませんが、ガビはケビンの双子の妹です!だから、ケビンにキツイことを言う描写が数箇所あります。そんなガビですが、ケビンのことが大好きです(そんな描写はほとんどないけど出る予定はもちろんあり!)ケビンもガビが大好きです!(このような描写もほとんどありませんが、ケビンの行動から感じ取れます)