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過去の影  作者: Kara:3
4/11

Pt.4 ジョンはどこ?エリオットは町で起きていることが何であるかを知る。マシューの状況も深刻になってゆく。

よし!パート4だ!これは少し長いぞ!エリオットはジョンに会いにいく。さあ、会えるのだろうか?;3


安静とは自分の部屋に行って寝ることを意味していたので少しがっかりした。でも、ここに来る途中、一度もちゃんと寝れていなかったことを思い出すと、それでもいいかと思えた。特にケビンやジェイコブに合わなくて済むのならば…。アイツら何だか怖いし。明日になれば、今日のことなんて忘れると思うけど。

エリオットは自分の部屋(クリスと同じ部屋だけど)がある2階に上がって行った。

クリスがエリオットの熱が心配だから、エリオットと一緒の部屋にして欲しいってみんなに頼んだんだのだ。階段は不気味に軋んだ。その音でこの家がどれだけ古いのかが伝わる。

3番目の部屋は一番奥にあって見つけるのには時間が少しだけかかった。

やっと自分の部屋を見つけることが出来ると、中に入ってベッドに腰を下ろした。

やばい…きっとエリオットはケビンやジェイコブに酷い仕打ちを受けるに違いない…。このキャンプ場でケビンたちに隠された荷物を探す羽目になるのは嫌だからね。気をつけなければ…。

そんなことを考えていたはずなのに、いつの間にかまぶたが重くなり、エリオットは自分でもそれに気づく前に眠りに落ちていた。驚くほどぐっすりと眠った。

夜は何事もなく過ぎていた。エリオットの次に寝に行ったのは、クリス、ガビとエミリーの3人だ。その次にマイク。ジェイコブとケビンはなかなか寝に行かなかった。

エリオットはその頃、真っ暗な森の中で誰かに追いかけ回される夢を見た。

周りがぼやけているから、これがただの夢である事は分かる。でも、怖い。現実じゃないのに。

森の奥から誰かが走ってくる音が聞こえるlヤバイ!逃げないと!エリオットは走り出した。

何でこんなに足が遅いんだ!?エリオットは立ち止まった。目の前の木々は壁のように道を遮っている。

やばい!!追い詰められた!!「やめて!」エリオットは叫びながら飛び上がった。

シャツは冷や汗で濡れていて、口の中は乾き切っていた。ここはどこ!?胸がドクドクと高鳴り、あたりを見回す。暗い室内。カーテンは閉まっていて、部屋はぼんやりと薄暗い。こんな部屋に見覚えなんてないはず…?エリオットはベッドに腰を下ろして、深呼吸をした。

パニックになりそうな感覚が少しずつ引いていくと、記憶が戻ってきた。

ウォーターヒル………キャンプ場……そっか……ケビン達とウォーターヒルに来たんだ…。

隣のベッドではクリスが寝ていた。さっきの叫び声で誰のことも起こしていないと良いけど……。

部屋の中はとても静けさに包まれていて、時計の「カッチカッチ」という音がやけに目立つ。時計の針は4時15分を指していた。



マシューはロッカールームからの出口を手探りで見つけて、ドアを開けた。

錆びたドアは「ギイィ」という音を立てて開いた。マシューは出る前に腰にかけてあるライトと銃に手を伸ばした。ライトは襲われたときに落としたからなかったから、期待はしていなかった。

…銃はあったが、手探りで壊れていないかを確かめるときに、弾丸が入っていない事に気付いた。

ちゃんと入れたはずだよね……まさか……誰かに抜かれた…?いや、入れてないだけだ。それだけ。絶対にね……。そうであることを祈ろう……。マシューはため息を吐くとロッカールームを出た。



エリオットがカーテンをそっと開けてみると、外はちょうど夜明けを迎えていた。

太陽や雲は美しいオレンジ色に輝いていて、空は桃色に染まっていた。部屋の薄暗さに慣れた目にとっては眩しすぎるくらい輝いている。

景色に心を奪われていると、お腹が「グゥー」となった。

エリオットは昨日の昼から何も食べていなかったのでお腹が空っぽであったことを思い出した。

1階に降りて朝食を取ることにした。

だから、できるだけ静かに(階段のギシギシという音がとてもうるさかったけど)1階に降りた。1階の方はカーテンが空いていたし明るくて、木の壁に桃色が反射して輝いていた。

空っぽの写真立てにも光が反射していた。今のところまでは素晴らしい朝だ。

誰かの寝息が聞こえてくるまではだけど。リビングを見回してみた。誰の寝息なのかな?

エリオットは寝息がする方を見た。暖炉の前に置いてあるソファでケビンが寝ている。

テーブルの散らかし具合を見ると、ケビン達が徹夜をしていたことが何となく分かる。ここで今、起こしてしまったら、酷い事になりそうだ。本当に。昨日にあんなことがあったし。

だからエリオットはみんなが起きるまで、朝食を取らずに外を少し歩きに行く事にした。ドアは嫌な音を立てて開いた。

エリオットは思わず体をこわばらせた。

背後の寝息が止まっていないことを祈りながら、そっと外へと足を踏み出した

出てきた太陽の日差しはもう眩しかったけど、外はまだ涼しかった。夏の早朝は涼しくていいな。

エリオットは森に向かって歩き出した。

もちろん周囲の丸太小屋も気になったけど、なぜか近づく勇気は出なかった。中に恐ろしい何かが潜んでいるのかもしれない。そう思うと、近くにいるだけでも怖い気分になった。

森の中は小鳥のさえずる音が聞こえてきて、森の中の雰囲気は何だか落ち着いていた。小川が緩やかに流れる音も聞こえる。すると、木に一枚だけ貼ってあった黄色の紙に目が行った。

何だろう?気になって近づいてみると、それは行方不明者のポスターであった。

「探しています」大きな文字が、紙の一番上に書かれている。その下にあったはずの情報は、長い間と風雨にさらされて、にじみ、薄れ、ほとんど読み取れなかった。

「探しています」行方不明者の名前は「トーマス」としか読み取れない。残念なことだ。これじゃ、誰も読めないじゃないか。写真でさえも滲んで、同じく読み取ることが不可能だったが、写真の中の「トーマス」はニッコリと笑っているに違いない。行方不明ポスターの写真がほとんどそうだから。

少しすると、エリオットは綺麗なエメラルド色の草が生えている所を見つけた。

しばらくそれに横たわって物思いにふけることにした。草は濡れていて、ほんのりと冷たい。こうして横になっていると、何故か安心するんなだよね…ここでなら何かの心配をする必要さえないのだから……森の空気は美味しいな………。

横たわっていると、空が桃色から水色に少しづつ変わってゆくのが見えた。さっきまで広がっていた光景は魔法のようにして消えている。夜が最後まで、明けたみたいだ。

小鳥が歌いながら元気そうに飛び回っている。俺も…何にも縛られずに飛べたらな……心の奥深くでこう思った。朝の空気を深く吸い込みながら目を閉じる。

こうやって誰もいない所で休むのもいいな…自然に休んだのは結構久しぶりだ。

草と湿った地面の匂いが漂う…俺はこの匂いが何となく好きだ。森の匂いといえば、松の木の雨の後の匂いが一番好きだけど。多くの人が俺に賛成するはずだ。「ポッキ」森の方から枝が折れる音がした。

エリオットは驚いて、急いで立ち上がって振り返ろうとすると、急に殴られた。

頬に痛みが走る。エリオットはその衝撃で後ろに倒れて、地面に座り込んでしまった。目の中で火花が散った。

殴ったのは…物凄く驚いたけど、それはケビンであった。ものすごく怒った怖い顔でこちらを見ている。

「俺の命令に従わないとこうなんだよ?分かったな?次従わなかったら許さねえからな!」と吐き捨てるように言って彼はキャンプ場の方に早歩きで帰って行った。

最初は何が起きたか理解できなかった。エリオットはケビンの足音が聞こえなくなるまで、殴られた頬を抑えて座り込んでいた。

ケビンは学校とかでも、暴力を振るってくることは決してなかった。エリオットはもう慣れていたが、ケビンはいつも悪口を言ってくるだけで、本当に何もしてこなかった……。

ここには怒る大人がいないから、こんなことをしても良いって思っているのだろうか…?

とりあえず、これが最後であることを祈ろう……。ケビンを避けて生きるのも無理そうだし。小鳥はケビンの大声に驚いて、遠くに飛び去ってしまったみたいだ。周りは静けさに包まれた。エリオットはゆっくりと立ち上がった。あの時…結局…ドアの音で起こしちゃったかも………。もっと気をつけるべきだったな。キャンプ場に戻ろう……。

家に戻ると、マイクはみんなの朝食を作っていた(悔しそうな顔をしながら)。

ジャンケンに負けて最初の食事作りの当番になってしまったらしい。テーブルにコップを置いていたマイクは帰ってきたエリオットを見ると、心配そうな顔で話しかけてきた。

「おはよう!エリオット!その頬どうしたんだい?赤く腫れてるよ?」

エリオットはケビンに殴られた頬を隠すようにして抑えると、答えた「えーと、ただ森で歩いてたら…滑って転んじゃっただけ…そう!こ、小川があって!…それで…滑りやすかったんだ…」

マイクはそれを聞くと、笑い出した。「君はドジだな!」皿をテーブルに並べにリビングに入ってきたクリスが話を聞きつけてきて、キッチンに戻ってタオルに包んだ氷を持ってきてくれた。

「これを頬に当てな。そうすればアザができないよ…後は、危ない所で歩くなよ?」「あ、ありがとう…気をつけるよ……」エリオットはクリスから震える手で氷を受け取った。クリスは一瞬エリオットの顔を見てから、再び皿を並べに行った。

マイクの作った目玉焼きは美味しかった。

「俺はシェフになるんだぜ!」と彼は誇らしげに語っていた。マイクならシェフになれそうだな…とエリオットは思っていた。みんなは目玉焼きをトーストと一緒に喜んで食べた。

トースターが壊れていたから(つけると火花が散って、何かが焦げた臭いがするのだ)フライパンで焼いたけど、意外と食べられる味だ。

みんながジュースのおかわりをしていた時、今日は何をするかって話題になった。

マイクは「森に行こうぜ!」と言った。ジェイコブは「キャンプ場にある、廃墟になった丸太小屋をあさろうぜ!」と言った。みんな(ケビン以外)は気に入らなかったようで、一斉にジェイコブを睨みつけた。ジェイコブの後には数分間、誰も何も提案をしなかった。リビングルームで気まずい空気が流れ始めた。

………「…ショッピングにしない?」これがエミリーの気まずさを破った最高の提案であった。

持ってきた食べものはそこまで多く無かったし、すぐに底をつきそうだったのでみんなは賛成した。

食事のあと、皿の上にはパンくずと卵の黄身のあとが残っていた。

何気ない食卓の風景が、妙に懐かしく感じられる。でも、エリオットの頭の中にはひとつの名前が静かに響いていた。ジョン…彼がこの町にまだ居るんならだが…会いたいな……。彼は俺のことを忘れていないよね…?



マシューは不気味な廊下を歩いていた。ここは一体どこだろう…?廊下にはドアが一つと上に続く階段があった。ドアに書いてある文字が薄れかかったプレートには「ボイラー室」と書いてある。

窓がないからここは地下だと思う。だから、きっとここを出るには階段を上がればいい。

階段に近づくと、マシューはある事に気付いた。

階段の下の部分は今すぐにでも壊れるくらい錆びていて、微かに揺れている。体重を少しでも乗せると嫌な音が出た。こりゃあ、危ないな。回り道をしよう………。



約20分後、エリオット達が乗った車は森の中を太陽に照らされ、眩しく輝きながら進んでいた。

クリスが氷をくれたおかげでエリオットの頬は少し青くなっているものの、アザはできなかった。

車はゆっくりと森を抜けて行った。町に入るとケビンは車を空き地に車を止め、みんなは降りた。相変わらず子供の気配があまりなく時々エリオット達を珍しそうに見てくる通行人が居るだけであった。

「じゃあ、3時間後にここに集合な!」みんなはグループに分かれることにした。仲が良い者同士か、目的が一致した者同士で。

エミリーはガビと、ケビンは当たり前だけどジェイコブと、クリスはマイクといった感じのグループに分かれてみんなは解散した。エリオットは1人だ。

もちろんクリスとマイクに「一緒に来るかい?」って誘われたけど、他にやることがあったから断って、ジョンの家があるはずのところに向かった。

町外れにあるから、歩いて40分くらいかかった。その間、太陽は止まる事なくエリオットを照らし続けた。

とても、暑い1日だ。やはり俺はどっちかと言うと、冬の方が好きだ。

……そして……やっとだ。やっと、辿り着いた。ジョンの家は昔と全然変わっていなかった。前と同じく薄暗い感じがして、草が生い茂っていた。小さな白色の木造の家の近くに錆びた鉄の板でできている車の修理場があった。何故かその建物からは圧迫感を感じる。

自分でもよくわからないけど、エリオットはとても緊張していた……。

もし、彼がエリオットである事を信じてくれなかったら…?ジョンが引っ越していたら…?俺に会いたがらなかったら?ドクドクと心臓の音が聞こえてきて、手と足は小さく震えていた。

もし、今のジョンがエリオットが期待したような、あの小さい時のジョンではなかったら?エリオットはできるだけ嫌な考えを払いのけて、玄関のドアに近づいた。

どうしよう、どうしよう…?もう勇気を出すしかない!そうだ!!エリオットは思いっきりドアを叩いた。

「ドンドンドン!」………「…」……あれ…誰も出ない…?誰も答えない?

無意識に足元を見ると新聞や雑誌が溢れかえっていた。ここでは誰も住んでいないのか?ジョンは用事があって、家を空けているのか?

すると後ろから「誰かね?若いの?」と声がして、エリオットは飛び上がった。

振り返ると、そこには老婆が立っていた。四角いメガネをかけていて、髪型は短い三つ編みだ。顔はとても優しそうだ。

「えーと、ここに住んでいるはずのジョンの友達です…」エリオットは答えた。それを聞いた老婆は悲しそうな表情になった。

「ここに住んどる子じゃね?…そうか……落ち着いて聞いてね……?あの子ね行方不明になったのじゃよ…」

エリオットの頭の中は真っ白になった。「…え?」

「そうじゃよ…半年前くらいに家に帰らなくなってそのまま戻らなかったのじゃ……もし、無事なら…帰ってこない方がいいのかもな……」

エリオットは何も言えなかった。言いたくても言葉が喉のところに引っかかって出てこなかった。

「今年は沢山の若い子が消えてね…この子は父親が薬物とかで捕まって、最近4年は一人暮らしだったのじゃよ…可哀想な子……」エリオットはどうにかして声を絞り出した。「な、何で…帰ってこない方がいいのですか……?」

老婆はうつむいて答えた。「この子は親父さんのせいでこの町の人に嫌われていたのじゃ…」

「ど、どういうこと…?」「…友達なのに知らんのかね?」「あの時は、ち、小さかったから……」「そうか……あの子の親父さんは工場を燃やした容疑をかけられていたのじゃ……今もあの子の親父さんが悪いってみな思っているのじゃゃよ…わしにしてみれば、妻を失った可哀想な男じゃよ……」「…ど、どうして…失ったの?か、彼女は亡くなったの?」老婆は間を空けてから答えた。「そうじゃよ…病気で」

エリオットの頭の中では情報処理が追いついていない。「それが…工場と何の関係が…?」「工場で取り扱っていた危険物のせいで病気になったという噂じゃ…ある種の金属は吸い込むと危ないじゃろ?」「……そうかもしれませんね……お、俺はよく知りません」老婆はエリオットの後ろを見つめながら言った。

「ほら、見えるじゃろ?あの行方不明ポスターの量?」

後ろを振り向くと、電柱や掲示板にはびっしりと色あせたポスターが貼られていた。写真の中の人々は嬉しそうにエリオットに笑いかけている。

「ええ…見えます」…老婆は優しくニッコリと笑った。「気をつけんんさいよ、お若いの」と言って彼女は自分の家の方へ戻って行った。残されたエリオットはただその場に立っていた……。


ケビンのもっと酷い裏の顔が出ましたね。そして、ジョンはどこに消えたのだろうか?エリオットはその問いに対しての答えを見つけるのだろうか?これはこれからの展開ですね!;D

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